コンテンツへスキップ

米景気は6月も軟調、企業利益の悪化は近いか【22年6月NY連銀製造業】

  • by

6月のFOMCと同じ日に発表された、悪い材料の第2弾の記事です。

昨日は5月の小売売上が予想外のマイナスに落ち込んだという話をしましたが、この記事では6月の製造業の景気の落ち込みについて触れていきます。

小売と製造業では意味合いがだいぶ違いますが、乱暴なまとめ方をするなら5月も6月もアメリカの景気は良くなさそうです。

この記事のポイント

  • ニューヨーク連銀による製造業の景気調査で6月の景気は「前月より悪化」をしめした。
  • アメリカの景気はエコノミストやアナリストが考えているほど強くないという証拠がまた一つ増えた。個人の考えでは、2022年内の景気後退の可能性が少しずつ増している。

予想よりも悪い6月の製造業の景気


多くの経済指標は翌月にならないと結果が発表されませんが、6月現在の景気についていち早く確認できるものが既にいくつか発表されています。

その1つがニューヨーク連銀製造業指数です。

ニューヨーク連銀景況指数は結果がマイナスになっていると前月よりも景気が悪化していることを示すのですが、6月(調査期間は6月2日〜9日)も前月に引き続きマイナスのまま、相変わらず「景気悪化」のシグナルを送っています。

  • 予想:+3.1
  • 結果:-1.2
  • 前回:-11.6

今年このデータがマイナスになったのは初めてではありません。1月、3月、5月に続いてわずか半年で4回目のマイナスになっています。

一度や二度ならまだしも、さすがに少し半年で4回のマイナス(前月より景気悪化)は何かを警告しているように思えます。

NY連銀製造業指数が意味するもの


この数字が低かったからと言って、すぐに「景気後退か」と考えるのは少し行き過ぎな考えと思われるかも知れません。

実際に、ニューヨーク連銀製造業景況指数は景気後退を予知する能力はそれほど高くないからです。

しかし、「S&P500が弱気相場になったこと」「逆イールド現象が起こったこと」「景気先行指標が2ヶ月連続で悪化していること」などのいくつもの景気悪化のシグナルが起こっていることを考えると、今すぐではなくとも2022年のうちに景気後退になる確率もそこそこ高い気がしています。

企業利益はまもなく悪化するか

このニューヨーク連銀の製造業指数が何を訴えているデータなのかを調べていると、さすが企業の声を毎月アンケートで聞いているだけあって、企業の利益成長が悪化するタイミングはちゃんと知らせてくれます。

次の図は2000年以降の「ニューヨーク連銀製造業指数(ピンク線)」と「S&P500の企業の一株利益の前年比(赤線)」を比べたものですが、ニューヨーク連銀製造業指数がマイナスになるタイミングで一株利益がマイナス成長に転じています。

株をやっている人はピンと来ると思いますが、一株利益の悪化は株価の下落の要因になります。

この記事を書いてるのが6月の半ばなので、あと1ヶ月もすれば4-6月期の決算期になります。次の決算で明かされる来期の見通し次第では、利益予想の下方修正されて株価が下がる展開もありうるので、まだ買いに動かずにチャンスとじっと待とうと思います。


本ブログからのお願い

この記事は、読者が自由に記事の金額が決められるPay What You Want方式をとっています。

「役にたった」「面白かった」など、何かしら価値を感じた場合は、YUTA'S INVESTMENT TICKETをクリックして、価値に見合った金額をお支払い下さい。

価値がないと思った場合には、お支払いは不要です。同じ記事を読み返して、新しい気づきがあった場合には、1人で何回クリックしても問題ありません。