アメリカの景気ですが、少し様子がおかしいです。
1月に発表されている経済指標を見てみると、予想よりも悪い数字が目立ちます。しかも、そのうちのいくつかは予想よりも大幅に悪い結果になっています。
昨日1月18日にニューヨーク連銀から製造業指数(製造業の景気の強さを数値化したもの)が発表されましたが、こちらも予想よりも大きく悪い数字が出ています。
製造業の6ヶ月先の見通しでは景気を楽観視している様子も見られるのでまだ過度の心配はしていませんが、直近のアメリカの景気は勢いを失っている恐れがあるので少し注意が必要です。
この記事のポイント
- ニューヨーク連銀製造業指数が発表されたが、結果は予想を大きく下回る内容だった。
- 1月の製造業の景気指数はわずかにマイナスで、景気が悪化していることを示している。新規受注が急減速してることが原因。
- この数字はアメリカの景気の好不調を表す指標の1つのISM製造業指数の先行指標になっている。
低迷したニューヨーク製造業指数
このブログでは今までほとんど取り上げたことはないのですが、ここではニューヨーク連銀が調査している製造業の景気指数について触れたいと思います。
この数字は毎月15日前後に発表されるもので、その月の製造業の景気をアンケート調査したものです。
似たようなもので投資家から注目度が高いISM製造業指数がありますが、ニューヨーク製造業指数のほうが発表日が2週間ほど早いのでISMの先行指標になっています。
そのニューヨーク連銀の製造業指数ですが、1月の結果は予想をかなり大きく下回る悪い内容だったようです。
- 予想:25.0
- 結果:-0.7(前回31.9)
結果がプラスの数字であれば景気拡大、マイナスなら景気悪化を意味するのですが、22年1月の調査結果は景気悪化を表すマイナスに落ち込んでいます。
景気が悪化している原因を見てみると、その内容もよくありません。
1月は新規受注が急減速しているようです。
この調査では製造業の企業に対して6ヶ月先の見通しのアンケートもやっていて、それを見る限り資産購入や技術への投資の勢いは衰えていないので、製造業はまだまだアメリカの景気に強気な姿勢のようです。
しかし、直近の受注が大きく減少している点は気になりました。
1月のISM製造業指数は期待薄
この結果を受けると、どうも1月のISM製造業指数(2月上旬発表)もそれほど期待できなそうです。
ISM製造業指数はアメリカの景気の浮き沈みを見るために、昔から多くの投資家に見られている数字です。
結果が悪かったと先ほどから伝えているニューヨーク連銀製造業の数字は、ISM製造業に近い動きをしていて発表日も2週間ほど早いので先行指標として用いられています。
過去のグラフを見ると、2つが連動している様子がよくわかります。
これを見る限り、1月のISM製造業指数もそんなに良くない恐れがあります。
予想よりも大きく悪化しているデータが目立つアメリカ
ここまで、ニューヨーク連銀の製造業指数が悪かったことを書いてきました。
ニューヨーク連銀製造業の数字は、アメリカの景気の浮き沈みをよく表すISM製造業と近い動きをすることで有名なので、このまま行くと次のISM製造業指数の結果はよくないことになりそうです。
最近気になっているのは、景気が悪化しているデータが増えていることです。
例えば、アメリカの小売売上高のデータは11月分も12月分も2ヶ月連続で悪い結果が出ていました。
>>低迷した11月のアメリカの小売売上、今景気サイクルのピークは過ぎたか。
特に12月の小売売上高は、予想を大幅に下回って「あっ」と驚く悪い内容でした。
あらゆるデータが好調だった2021年10月の好調から一変して、アメリカの景気に少し暗い影が出始めている点は要注意だと思います。