経済指標の中にはすでに6月の景気について発表しているものが、いくつかあります。
結果は良かったり悪かったりでまちまちですが、全体的な傾向としてはゆっくりゆっくりと進んでいるアメリカの景気鈍化の流れの中にいるという認識で良さそうです。
6月になったから何かが急に変わったということはなさそうです。景気鈍化のトレンドは変わらず、今は景気拡大期の終盤にいると言う認識で良いと思っています。
- ニューヨーク連銀とフィラデルフィア連銀が6月の製造業の景気指数をそれぞれ発表したが、結果はまちまちだった。
- ただ、全体としては大きな景気鈍化のトレンドの中にいるという認識で良さそう。
- 製造業の景気がさえない場面で、一株利益も伸びにくい。なので、2022年10月から続く米国株の株価上昇もどこかで天井がやってくる。
6月のアメリカ製造業の景気
いくつかの連銀がすでに6月の景況指数を発表しているので、確認していきます。
まずはニューヨーク連銀の製造業指数ですが、こちらは予想よりもかなり良かったです。
- 予想:-15.6
- 結果:+6.6
景気悪化のマイナス圏が予想されていたのですが、結果は景気拡大を意味するプラスで終えています。
しかし、これだけで6月は景気が良いと判断するのは難しいです。というのも、同じ日にフィラデルフィア連銀の製造業指数がなお低迷していることが発表されたからです。
- 予想:-12.3
- 結果:-13.7
この単月だけの結果を見ると、結局6月は景気がいいのか悪いのかわかりませんが、もう少しだけ引いて見て全体のトレンドを確認することにします。
以下は6月は予想外に好調だったニューヨーク連銀の製造業指数ですが、全体としては景気は下降トレンドにいるだろうと思います。
次はフィラデルフィア連銀の数字ですが、同じく大きな景気下降トレンドの中にいることがわかります。(6ヶ月後の景気指数では上向いているのは良い兆候ではありますが)
6月単月で見るとアメリカの景気はまちまちですが、まだ景気の鈍化や悪化のトレンドは続いているのではないかという見方はできそうです。
製造業の景気と株価について
さて、製造業の景気指数が悪いと投資家にとって何が問題なのかについて、少しだけふれておきます。
このブログでは何度か書いていますが、製造業の景気指数が悪いと企業の一株利益も伸び悩みや悪化する傾向があります。一株利益は株価を支える重要な要素なので、これが低迷するというのは株価にとっても良いことではありません。
最近の米国株S&P500は好調で2022年10月の安値から20%上昇していますが、実はこの間の一株利益の見通しはそれほど改善していません。
Factsetの次のグラフを見ても、今後12ヶ月の一株利益見通しは220ドル代後半から230ドル代前半に上がっただけです。
つまり、利益が増える根拠はなく割高が進んでいるだけの株高という側面があるので、米国株はこのまま順調に右肩上がりに行くとは思えません。
(企業利益の増加以上に、株価が際限なく上がることはないです)
ブームになればしばらく続くものなのですぐに株高が終わるとは思いませんが、中長期目線で見るなら、今は特に米国株に強気になる場面ではないと思っています。