米国株の投資をはじめたばかりの方が、とっつきにくいものの一つに経済指標があります。
GDPくらい有名であればわかりますが「ISM」、「ADP」、「PPI」、「CPI」など様々な3文字英語が飛び交い、一体何の数字なのかわからなかったり、似たような経済指標があって、何が違うのかと首をかしげる事も多いと思います。
記事を書いていても、毎回「ADP雇用統計とは〜」から説明をするのも知っている人からすると冗長になるので、ここで一つ解説ページを儲けて「詳細はこちら」として、このページを案内できるようにしたほうがスマートかなと思い、経済指標の解説ページを作ってみました。
ISM製造業景気指数
毎月第一営業日に発表される、アメリカの製造業350社の購買担当役員に景況感のアンケートをして集計した数字です。
アンケートの内容は「新規受注、生産、雇用、入荷遅延、在庫」の5項目につき、「良くなっている、変化なし、悪化している」の三択で回答する形式です。アンケート結果は集計されて、最終的に0から100の数字になって算出され、発表される数字が50以上であれば好況、それ未満なら不況という見方をします。
毎月発表されるアメリカの指標の中で最も早い第1営業日に発表されるため、景気の先行指標として注目されます。
最新のISM製造業景気指数記事:
アメリカ製造業の悪化、重要指標ISM製造業指数は3年ぶり50割れ。
ADP雇用統計
米労働省発表の雇用統計を予測するためにオートマティック・データ・プロセッシング(ADP)社が作成する数字です。市場予想とは別に、ADP社が独自に直前予想するもので、通常2営業日前の毎月第一週目半ばにADP雇用統計として発表されます。
もともとADPは企業に代わって給与計算を代行するビジネスを手がけており、全米で数多くの従業員情報をデータを持っていることから、データを活用した雇用統計の独自予想をADP雇用統計として算出しています。
ADP雇用統計自体の重要度は、米雇用統計の事前予想という特性上、米雇用統計には劣ります。雇用統計の先行指標としての機能を持っている指標です。
最新のADP雇用統計記事:
アメリカの悪い雇用環境を喜ぶ株式投資家。
米雇用統計
毎月第1金曜日にアメリカ労働省から発表される、景気の好不調を見るための重要指標です。非農業部門の雇用者増加数、失業率、賃金上昇率などがの数字が発表されます。
発表される数字が事前の市場予想を超えるかどうかが重要な視点になってきますが、もう一つの数字の見方として、雇用者増加数は10万人を超えるかが1つの目安になっています。10万人増加はアメリカの労働人口を維持するために必要な数字と言われており、これを超えない場合には労働者人口の減少が起こるからです。
ちなみに雇用統計の数字が良かったからと言って、株価が上がるわけではありません。世の中、そう簡単ではないのです。
株価は景気の強さよりも、金融政策に強く影響を受けるので、景気が絶好調すぎてバブルの懸念から金融政策の引き締めが起こりうる場面なら、雇用統計の強い数字は今後の金融引き締めを引き起こす可能性が高いと見られて、株価が下落する可能性があります。
最新の雇用統計記事:
とても緩やかな景気の減速が垣間見えた2019年7月米雇用統計。
生産者物価指数(PPI)
毎月15日前後の木・金曜日に発表するインフレ率に関する統計です。
毎月約1万品目を調査して集計し、物価の変動を前年比・前月比で公表しています。月ごとの変化の激しい食品とエネルギーを覗いた数字も”コア”の指標も同時に発表されるため、コアインフレ指数を見ることで、より正確にインフレ動向を把握することができます。
ただし、金融市場でインフレ率を見る場合には、次のCPIを参考にすることが多い点が注意です。
最新のPPI記事:
生産者物価指数は予想通りの内容も、18年夏より低下するインフレに歯止めかからず。
消費者物価指数(CPI)
毎月15日前後に、発表されるインフレに関する最重要指標。PPIの数日後に発表されることも多いです。
この指標を追うことで、アメリカ国民が購入するモノやサービスなどの価格の変動を追うことができます。調査対象のモノ・サービスは家賃や住宅コスト、交通費、医療サービスを含み、国民の生活水準を示す指標になっています。
CPIにはPPIには含まれないサービスの価格も広範囲に含むため、金融市場ではPPIよりもCPIを重要視する傾向があります。
最新のCPI記事:
米国消費者物価指数、予想を下回りインフレ率は緩やかに推移。