7月25日、欧州中央銀行のECBが追加利下げや資産購入の再開の検討する方針を明らかにしました。
この日、日本で最も報じられたのは吉本新喜劇の内紛についてだったので、このニュースを知っている人はそんなに多くないかもしれません。
要は、ヨーロッパの中央銀行も早ければ次回会合の9月から景気刺激策を打ち出します、というニュースが流れました。2019年は世界中の中央銀行が金融緩和に動いていますが、これでヨーロッパもついに緩和策に動き出すことになります。
7月25日時点の主要な国の世界の中央銀行の動きをまとめるとこうです。
- インド:2019年6月3回連続の引き下げを実施し、政策金利は9年ぶりの低水準。しかし、依然として目標の4%インフレ率を下回る。
- オーストラリア:2008年危機以来の低成長で、6月に3年ぶりの金利引き下げを実施。中央銀行ののロウ総裁は7月25日、低金利が長期間続く可能性を示唆(ロイター)。
- 韓国:2019年第1四半期(米中貿易戦争加熱前)で前期比GDPマイナス成長。2019年7月に3年ぶりの利下げ実施。
- 欧州:7月の中央銀行で次回以降の会合で、金融緩和策の検討を示唆。早ければ9月にも金融緩和。
- 米国:市場は7月末にも金利引き下げを実施と予想する中、パウエル議長も「適切な行動をとる」と利下げを否定せず。なお、市場の予想は利下げ実施が100%。利下げなしは0%。
- 日本:物価の勢いを失えば、追加緩和をすると黒田総裁が発言(ロイター)
ECBも検討を開始する金利階層化
さて、ECBは9月以降の会合で金融緩和策の検討に入るわけですが、それを伝えるブルームーグのニュースがこちらです。
ECB、利下げとQEを示唆-金利階層化など選択肢検討 – ブルームーグ
えっと「金利階層化」とは、また聞き慣れない日本語が出てきました。
しかも、さすが金融専門番組のブルームーグさん。「それくらい知っているでしょ」と言わんばかりに、記事の本文でも一言も用語を解説しません。
調べてみると、金利階層化とは日銀が2016年からやっている長期金利と短期金利の両方に別々の目標値をつけること(イールドカーブ・コントロール)のようです。
もともと日本がこの長期と短期の金利目標を始めたのは、マイナス金利を深堀りするだけでは国内の銀行の収益に悪影響があるからでした。銀行は長期と短期の金利差で儲けているので、銀行がちゃんと稼げるように長短金利差をコントロールしはじめたのが始まりです。
2019年7月の時点でECBの政策金利は既にマイナス0.4%で、このままマイナス金利の幅を広げると、日本のように銀行の収益に影響がでるとみて、日本の方式を真似る検討にも入るようです。
まだまだ検討の段階なので、日本式の金融政策を開始するかは懐疑的なECBメンバーもいるようです。それに、日本も結果が出ているとは言い難い状況なので、これからECBがどんな手を打ってくるのか、気になるところです。
また世界中が注目しているのは、各国の低インフレの状態がまんえいする中で、どの国が結果を出すかです。未だ、どの国も結果を出しているは言い難いなので、結果が出た金融政策があれば、世界的にそれを模倣する動きがあるかも知れません。