アメリカの株式市場は絶好調です。ダウ・S&P500・ナスダックとアメリカの主要な3つの指標がそろって、歴代最高値圏にいます。
株高の要因を上げてしばらくは株高が続くとものの、いくつかの指標は株式投資家が楽観的になりすぎていると警告を出しているので、近いうちに10%程度の小さい下落はあるかも知れないと思っています。
この記事のポイントはこちらです。
- ダウ・S&P500・ナスダックいずれも歴代最高値
- 株高の要因は「FRBの3回の金利引き下げ」と「米中の部分合意が近いこと」
- 指数は高値を示している年内・年明けに一時的な調整(10%程度)はあるかも知れない
ダウ・S&P500・ナスダックいずれも最高値圏
2019年11月4日時点のアメリカの株式市場はとても調子がいいです。この日、ダウは歴代最高値を更新しています。
この株高にトランプ大統領もご満悦です。「株式市場は歴代最高値だ」と歓喜のつぶやきをしています。
Stock Market hits RECORD HIGH. Spend your money well!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) November 4, 2019
また、S&P500もナスダックも最高値圏内にいます。まさにアメリカ株は絶好調です。
株高の要因は低い金利と米中貿易合意の緊張緩和
これだけのアメリカ株の好調の要因を見てみると、FRBの利下げと、米中貿易戦争が背景にあるようです。FRBは2019年に3回の利下げを行い、対立が続いていた米中の貿易協議は部分合意が近づいて、かつてないほど両国が歩み寄っています。
- FRBは2019年3回合計0.75%の金利引下げを行った。
- 対立が続いていた米中貿易協議が、11月にも部分的な合意を結ぶと見られていて、緊張が緩んだ。
それに指数にアップルやマイクロソフトなど、指数の割合が大きな企業が2019年3Qで好決算を出している点も、S&P500などの指数の最高値を支えている気がします。
アメリカの政策金利について言えば、「失業率が最低水準」「GDP2%前後の成長」「インフレも目標2%をわずかに下回るだけの水準」という、中央銀行のFRBの成績としてはオール5の状態で、3回も利下げをしたので株高は必然とも言えます。
また、2年間に渡って対立が続いていた米中貿易協議も11月中にも部分的な合意が見えているとの報道があったため、市場は警戒心を解いて、安心して株に資金が流れているようです。
ゴールドマン・サックスは最高値を更新している中でも、あらゆる資産の中で一人勝ちするアメリカ株を持つようにと顧客の富裕層に助言をしているようです。
ゴールドマン、米国株は独り勝ちだとリスク志向の富裕層顧客に助言(ブルームバーグ)
投資家の強欲を警告する指標
私も基本的には、しばらく株高が続くと思っています。ただし、いくつかの指標は既に株式投資家が楽観的になりすぎていると警告を発しているので、年内か年明けに10%程度の下落を経験しながら上昇するのだろうと思います。
警告を発している指標の中で、一番直感的でわかりやすい指標はFear & Greed Indexです。この指数は平たく言うと、株式投資家の心理を反映していて、Fear(恐怖)なら売られすぎていて安値、Greed(強欲)なら買われすぎてて下落に注意するサインを送る指標です。
Fear & Greed Index(CNN Business)
ダウが最高値をつけた11月4日のFear & Greed Indexがこちらです。
最高レベルのExtreme Greed(とても強欲)になっています。1年前、1ヶ月前、1週間前から綺麗に1段階ずつ強欲に変わっているのが、興味深いです。
なので、近いうちに株高を調整して一回下落する可能性があると思います。ただし、今の市場の環境はとても安定しているので、このまま特に経済環境が変わらなければ、10%程度の下落は経験したとしても、再び最高値を更新しそうです。
そして、その先にアメリカにも景気後退が起こる可能性を、私はまだ捨てていません。FRBが迅速に利下げをしたことで、しばらく猶予ができ株も歴代最高値になりましたが、過去のデータを見ても景気後退直前では歴代最高値を更新してきたので、この株高では株資産を増やさず今保有している株が上がるのを楽しむことにしています。