6月17日にアメリカの金融政策を決める会議FOMCが行われました。
この様子を見て、私は金融政策に大きな変更は見られないので、まだインフレが上昇するシナリオに投資しても良いはずだという記事を書きました。
>>米金融政策に変更なし。6月のFOMC後も投資スタンスはしばらく変わらず。
少し困っているのは、FOMCでの発表に対する私の解釈と市場の解釈が違うことです。
この記事では、市場がFOMCをどのように受け取ったかを書いていきます。
この記事のポイント
- 市場はFOMCメンバーが金利引き上げ予想を2023年に前倒したことに強く反応したように見える。
- 政策金利が上がれば、インフレを抑える動きが出るので商品価格は下落した。商品市場の投資家は、FRBはインフレを抑える動きを始めたと解釈した様子。
- インフレが抑えられることを好感して、長期国債は買われて長期金利は低下した。長期金利が低下で有利になる成長株もFOMC後に上昇した。
政策金利の引き上げに反応した市場
FOMC後に株式・国債などのさまざまな市場の動きを見ていたのですが、どうも市場の投資家たちはFOMCを見て「あれ、アメリカの政策金利は早めに引き上げられるかもしれない」と考えたようです。
詳しくは昨日の記事に書きましたが、2022年7月時点で少なくとも1回は政策金利が引き上げられるとの市場予想は、37%にまで上がっています。
>>米市場の金利予想、2022年7月には利上げされる確率は約40%
そして早期の政策金利の引き上げの予想が強まったことに注目すると、FOMC後の商品・国債・株の値動きをある程度説明できるようになります。
下落に転じた商品価格
政策金利が引き上げられれば、インフレ(モノの値段の上昇)を抑える方向に力が働きます。
FOMC後に早期の政策金利の引き上げ予想が強まったことは、モノ(コモディティ)の価格上昇が抑えられる方向に力が働くと市場は解釈して、商品価格は下げたようです。
FOMC後には金属・穀物などのあらゆる商品(コモディティ)の価格が下落しました。原油価格はそこまで下落しませんでしたが、ゴールドや銅は大きく下落しています。
長期国債は買われた
長期国債についてはFOMC直後こそ大きく売られ(利回りは上昇し)ましたが、しだいに大きく買われ(利回りは低下す)る動きが見られています。
もしもFOMCで国債の購入額を減らす議論が少しでも行われたことがもっと注目されていたら、長期国債は売られていたはずですが、そうはなりませんでした。
「政策金利上昇でインフレが抑えられるなら、長期国債にはプラスに働く」と思われたのかもしれません。やはり、この市場でも政策金利の動きが重要視された様子です。
長期金利が下がったことを受けて成長株が買われた
長期金利が下がると成長株にとっては追い風が吹くので、FOMC後は成長株を多く抱えるナスダック総合指数の値動きは、ダウ平均よりも良い日が続いています。
今後の投資について
さて、少し困ったことになっているのは、私の投資の狙い通りには市場が動いてくれていないことです。
私がFOMCの様子を見ている限りは、インフレを抑える本気度をFRBから感じることができなかったので、このままではくすぶっている長期的なインフレ要素を消すことができないだろうと見て、インフレに強い銘柄への投資を継続しています。
一方で、市場はFOMCを見て政策金利の早期引き上げを察したために、インフレに強い商品は下落してしまいました。
市場と異なる判断をすることは投資で良い成績を出すためには必要ですが、私の投資歴にはインフレの時代がないどころかインフレの時代を生きたこともないので、今回の判断に特別に強い自信はありません。
誰が何を言ったかではなく、できるだけ自分の頭で考えて納得した考えをもとに投資を判断するようにしていますが、市場でしのぎをけずるプロの投資家が間違った判断をしていて、私の判断のほうが正しいというのは、可能性が低そうです。
先月辺りからずっと考えていたのですが、インフレに強い銘柄への投資はいつまで続けられるのかを、もう一度再検討しても良いかもしれません。