ディズニーが米国で立ち上げた新しい動画サービスDiseny+が開始2日目で契約者数1,000万人を超えたと発表がありました。新サービスの想定以上のロケットスタートに、株価も7%上昇しています。
ディズニーが掲げていた当初目標は5年後の2024年までに米国で2,000万契約から3,000万契約を目指していましたが、サービス開始2日目で目標の半分を達成しています。これはかなり順調なペースです。
「そもそもディズニープラスって何?」「なんで、こんなにヒットしているの?」という疑問にお答えします。
この記事のポイントはこちらです。
- ディズニーが社運をかけた動画ストリーミングサービスDisney+をいよいよ提供開始
- ネットフリックスの米国6000万契約、Huluの2300万契約の中、Disney+はサービス開始2日で1,000万突破
- ヒットの要因はDisney+の低価格戦略。当初コンテンツ数で圧倒的にネットフリックスに劣るために苦戦が予想されていたが、あえて低価格にすることでネットフリックス・ユーザにもディズニープラスも契約してもらうことに成功している。
ディズニープラスが米国でサービス開始
11月12日から米国でサービスが開始した動画配信サービスDisney+(ディズニープラス)です。毎月6.99ドルで契約すれば、いつでもどこでもテレビやスマホ・タブレットからディズニー作品の映画・オリジナル動画作品・ドラマが見れる動画サービスです。
残念ながら日本ではまだサービス開始時期が未定ですが、遅くでも2021年までにはサービスが開始されると発表されています。
このディズニープラスの魅力はなんと言っても、コンテンツの質の高さです。ディズニー作品といっても、純粋なディズニーだけではありません。
ディズニー作品だけでも「アナと雪の女王」「美女と野獣」など有名の作品がありますが、ピクサーの「トイストーリー」「モンスターズインク」、ルーカスフィルムの「スターウォーズシリーズ」、マーベルの「キャプテン・マーベル」など多彩な映画のラインナップに加えて、これらの作品のオリジナル動画コンテンツが配信されています。最初の1年で過去500映画と、7500の動画エピソードを公開する予定です。
コンテンツ数は、競合のネットフリックスに比べると圧倒的に少ないのですが、提供される作品がヒットシリーズばかりで質が高いために、注目度が高いサービスです。
2日で1,000万契約を勝ち取ったディズニープラス
このディズニープラスはウォルト・ディズニー社が2019年の”Top Priority(最優先事項)”と位置づけていて、社運をかけた失敗が許されないサービスでした。
ディズー社はテーマパークや映画のイメージが強いですが、主力はケーブルテレビなどのメディア事業です。しかし、近年はネットフリックスやアマゾンプライムなどの動画サービスにおされて、ケーブルテレビが不振に陥っています。そこで、主力コンテンツを全て投入して、ディズニーが本気になって反撃に出たのがディズニープラスです。
まだ2日目ですが、ディズニープラスの契約者数は1000万を超えて、米国契約数でネットフリックスの6000万、Huluの2300万に迫る勢いを見せています。
サービス名 | 米国契約数 |
---|---|
Disney+(開始2日) | 1,000万 |
ネットフリックス | 6,000万 |
Hulu | 2,300万 |
成功の要因は低価格戦略
ディズニープラスはコンテンツの質は高いものの、数で圧倒的にネットフリックスに劣るために、ネットフリックスに対抗するのは難しいと当初見られていました。なぜ、ここまでのロケットスタートを切れるまで成功したのでしょうか。
その成功の要因は、価格戦略と思っています。
当初ユーザは、一つの動画ストリーミングサービスを選んで契約すると見られていました。でも、ディズニーはコンテンツ数はネットフリックスに劣ることをCEOも自ら認めていたので、真っ向から勝負しませんでした。
ディズニープラスは価格を他の動画サービスよりもかなり抑えることで、ネットフリックス契約者にも、ディズニープラスを契約してもらえるようにして、一気にユーザ数を増やしました。
これはネットフリックスやアマゾンにコンテンツの数で劣るディズニーにとって、非常にうまい戦術です。真っ向から勝負して価格をネットフリックスにそろえていたら、間違いなく潰されていたはず。
このディズニーの戦い方で、動画ストリーミングサービス戦争の結末も変わりつつあります。これまで、乱立する動画ストリーミング競争の結末は、1-2社だけが生き残るかと思われていましたが、動画サービスを複数社契約する未来が生まれつつあります。