ディズニー映画を惜しみなくつぎ込むディズニーの本気度
やはり、ディズニーはネットフリックスとの戦いに本気で、かつ全力で挑むようです。
2019年3月7日、ウォルト・ディズーのボブ・アイガーCEOは、2019年の最優先事項(Biggest Priority)に位置づけている、定額制動画ストリーミングサービス「ディズニー・プラス」について、過去の映画作品全てを見れるようにすると公言して注目を集めています。
もちろん「映画作品全て」の中には、今まで動画配信を全くしてこなかったプロパーディズニー映画も含まれます。
ディズニーは10年越しの買収を続けた結果、その傘下にスターウォーズやマーベルなどの幅広いヒット作を抱えていますが、中でも「シンデレラ」・「ダンボ」に始まり、「ベイマックス」・「シュガー・ラッシュ」・「アナと雪の女王」などの、いわゆるプロパーのディズニー映画は特別な存在でした。
プロパーのディズニー映画は基本的に映画上映した後は、倉庫の奥深くに眠らせて再販の時を待ち、なかなか社外に公開しない”慣習”がありました。実際にネットフリックス経由で、ディズニーはマーベル作品などの配信をしてはいるものの、多くのプロパーのディズニー映画は公開していません。
その封印を一気に解き放ったところに、ディズニー・プラスを何としても成功させたいディズニーの意欲を感じます。
ディズニー・プラスの詳細は4月11日に明かされると見られていますが、今までで分かっている内容を以下にまとめます。
- ディズニー・プラスではリリース後に比較的速やかに、過去の全ディズニー映画を見れるようにする。
- ディズニ・プラスは2019年の後半にリリース予定。(※日本のリリース時期の言及はないものの、公式サイトは開設済)
- ネットフリックスに配信していた多くのディズニー関連作品は引き上げる
- ディズニー・プラスの詳細は4月11日に公表される予定
ネットフリックスで配信中のディズニー関連作品は配信終了に
動画配信サービスで先を行くネットフリックスにとっては、ディズニー傘下の作品が配信できなくなる影響は控えめに言っても小さくありません。ネットフリックスでの2016年のトップ3の3作品、2017年のトップ2の2作品、2018年トップ3の3作品は全てディズニーから提供されています。
これらの作品を今後配信できなくなることは、ネットフリックスにとっては大きな痛手を被ることになります。
ディズニープラスで公開予定の作品
価格、リリース時期・提供作品などの詳細は4月11日の発表と見られていますが、ディズニー・プラスで配信予定の作品については、いくつか公式で既に発表されているものがあります。公式サイトには「プロパーディズニー」・「ピクサー・スターウォーズ」・「マーベル」・「ナショナルジオグラフィック」のロゴが上がっています。
- ディズニー:ハイスクールニュージカル シリーズ(テレビ・映画)
- ディズニー:スターガール(新作映画)
- ディズニー:ウォルト・ディズニー・ドキュメンタリー
- ピクサー: トイストーリー4(2019年公開映画)
- ピクサー: モンスターズ・インクシリーズのオリジナル・アニメ
- スターウォーズ: クローン・ウォーズ新章(ディズニープラス独占配信)
- スターウォーズ: エピソード9(2019年公開映画)
- スターウォーズ: マンドロリアン(実写TVドラマシリーズ)
- スターウォーズ: ローグ・ワン 前章(TVシリーズ)
- マーベル: キャプテン・マーベル(2019年公開映画)
- マーベル: アベンジャーズ・ロキの実写TVドラマシリーズ
(出典:CNET)
失敗がゆるされないディズニー
詳細情報公開前までにディズニーから漏れ出てくる作品情報だけでも、上記の有名作品があがります。ディズニー・プラスのターゲットは家族向けと言われていますが、家族向けのサービスだけに限って評価すれば、ネットフリックスを十分超えているレベルです。
この動画配信サービスは、ネットフリックス・アマゾン・ディズニーに加えて、アップルも参入を宣言しており、全く余談を許しませんが、この分野で絶対に落とせないのがディズニーです。
ディズニーは映画やテーマパークのイメージが強いですが、売上構成比からすると一番大きな収益の柱はケーブルテレビなどのメディア関連事業です。2010年代後半にネットフリックスやアマゾンの動画配信サービスの台頭によって、このケーブルテレビ契約数が落ち込んでいて、今後もさらなる契約解除が続くと見られています。
アメリカ全土でケーブルテレビを解約して、動画配信サービスに流れる動きはコード・カッティングとも言われて社会現象になりました。コード・カッティングで追い詰められたディズニーがこの動画配信サービスで成功できなければ、小さくなりゆくケーブルテレビ市場とともに消えていく運命にあります。
ただ、かつては同じように血で血をあらう価格競争をしたクラウドではアマゾンとマイクロソフトが2強になって他社を抑え始めたように、トップ2以内にさえ入れば、拡大する動画配信サービスの時代の波に乗れます。トップのネットフリックスに追いつくのは至難の技ですが、なんとかアマゾン・アップルを押しのけて2位の座に滑り込みたいところです。
参考記事: