いま、世界で一番熱い戦い。ディズニー2019年に独自の新コンテンツ配信開始へ。

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コンテンツ配信ビジネス拡大勝負の年に

私も保有しているウォルト・ディズニーが2月5日に決算を発表しました。前年同期比で売上高は変わらず、一株利益は3%減も、売上も利益も市場の予想を上回って、まずます良い決算でした。

しかし、最大の関心はネットフリックスとアマゾンとアップルとの間で、いま世界で最も熱い激戦を繰り広げているインターネット経由の映像コンテンツ配信ビジネスです。レースの先頭を走るネットフリックスだけでもオリジナル映画・ドラマ製作に1兆円以上を費やしていており「それ、どっかの小さな国の国家予算ですか」という額の投資が飛び交っています。

1兆円の数字の規模が大きすぎてピンと来ないかもしれませんが、日本の映画全体の総製作費は1000億円です。文字通り「桁違い」のビジネス戦争をしています。

※コンテンツ事業の激戦については、こちらの記事でアップルの決算内容と共に扱っています。

iPhoneの次の打ち手は?詳細に読み解くアップル2019年1Q決算

この業界に参入したディズニーが生きのびれるかどうかが、最大の注目ポイントです。

2018年にスポーツ専門の動画配信サービス「ESPNプラス」を立ち上げ、21世紀FOXを8兆円で買収してアバターなどの優良コンテンツと動画配信サービスのHuluを手に入れるなど、次々と手を打つディズニーですが、この会社の命運を握るのは2019年末にアメリカでサービス提供される動画配信サービス「ディズニー+」です。

コンテンツ配信ビジネスに参入する背景

近年のディズニーは売上最大規模のテレビ事業の変革期に来ています。これは2010年代前半からコード・カッティングと呼ばれる、ケーブルテレビを解約して、Youtubeやネットフリックスなどのインターネット動画を見る視聴者の動画の楽しみ方が変わったことが影響しています。

ディズニーは今でも売上の40%はケーブルテレビを始めとするメディア・ネットワーク部門がたたきだしていて、コード・カッティングがこの部門の売上減少に直撃している構図がありました。

そうした背景の中、ディズニーは近年テレビ事業からの脱却を図り、インターネット経由で映像やドラマなどのコンテンツを配信するビジネスに参入しました。

ディズニーの3つのコンテンツ配信サービス

衰退していくテレビ事業に変わる事業にするべく、近年のディズニーは急速にコンテンツ配信事業の拡大に力を入れはじめています。そもそもテレビ事業と映画事業を持っているディズニーは魅力あるコンテンツはたくさん保有していますが、それらをインターネットで月額定額制で配信するサービスを提供予定のものも含めると、3つ保有する予定です。

その3つは、スポーツ専門の動画配信サービス「ESPNプラス」、買収して獲得したドラマ・映画のコンテンツ配信サービス「Hulu」、そして2019年末にサービス展開予定の「ディズニー+」です。

スポーツ専門の動画配信サービスESPN+


ESPN+は2018年4月に始まったスポーツ専門の動画配信サービスです。追加料金を払うことで、アメリカンフットボールNFLや、野球MLBの試合をみることができ、開始5ヶ月で契約者数が100万人、10ヶ月目で200万人を超えるなど、順調な滑り出しを見せています。

こちらはスポーツに特化したサービスで、ネットフリックなどとは競合しないとてもいいビジネスだと思います。

映画、ドラマ配信サービスHulu

Huluは全世界で5400万人の会員数を誇る、映画・ドラマ・TV番組のインターネット配信行うサービスです。もともとHuluへはディズニーが30%出資していましたが、同じく30%出資している21世紀FOXを買収することで、Huluはディズニーのものとなりました。

FOXの買収に関しては、当初アメリカ最大のケーブルテレビ局「コムキャスト」が約7.4兆円で買収をしようとしていたところ、ディズニーがその金額を上回る8兆円を出して決着をつけた買収劇もありました。

そこまでしてディズニーはこのFOXをどうしても買収したかったわけですが、その理由は2つあります。ひとつはFOXがもつ「アバター」「X-MEN」「タイタニック」などの有力なコンテンツが欲しかったこと、もう一つはHuluがもつ実績ある動画配信に関わるIT基盤と技術者を手に入れたかったためです。

ディズニーの命運を握る、ディズニー+


ディズニーは、Huluとは全く別のオリジナルのコンテンツ配信サービスを2019年後半に開始すると発表して、ネットフリックスやアマゾンに衝撃を与えました。そのサービスがディズニー+(ディズニープラス)です。

ディズニープラスの最大の魅力は、配信する作品の質の高さです。ディズニーが抱える主力級の映画コンテンツは今まで極力映画やDVDに限定して、ネットフリックスなどの定額制の動画配信コンテンツとしては限定的に配信するのみに抑えてきましたが、ディズニープラスではディズニーの主力級の映画の配信予定です。

そしてディズニーは10年に渡って計画的に買収を進めてきた結果、保有する作品のラインアップがすごい事になっています。

  • 「アナと雪の女王」「ベイマックス」「シュガー・ラッシュ」などのディズニー映画
  • 2006年ピクサー買収で獲得した「カーズ」「トイ・ストーリー」など
  • 2009年マーベル買収で獲得した「スパイダーマン」「アベンジャーズ」など
  • 2012年ルーカスフィルム買収で獲得した「スター・ウォーズ」シリーズ
  • 2018年FOX買収により獲得した「アバター」「X-MEN」「タイタニック」など

これらの主力級の配信が実現すれば、先行するネットフリックスとアマゾンのネット配信サービスビジネスに十分割って入ることができます。実際、ディズニープラスでは既にいくつかの作品の配信を公表していて、そのラインナップに「スター・ウォーズ」「モンスターズ・インク」、「マーベラス」の新シリーズが伝えられています。

インターネットでの動画コンテンツ・サービスで会員数を増やすのに一番重要なのが、オリジナル映像コンテンツが面白いかどうかと言われています。ネットフリックスやアマゾンなどのインターネットのコンテンツ配信サービスは、ともすると著作権のゆるい作品ばかり集めて、どの会社も同じような作品を提供することになりがちです。そこで、ネットフリックスもアマゾンも、他社との”違い”を出すために、オリジナル映画、オリジナルドラマを作ることに多額のお金を出してきました。

これに対して、ディズニーには配信予定を広告すれば契約が見込めそうな魅力ある作品がたくさんあり、シリーズものとして続編を作れば視聴が見込めるブランド作品がたくさんあります。

テレビ事業で苦渋をなめたディズニーが、今度はテレビ事業を苦しめたインターネット動画配信サービスでネットフリックスに対決姿勢を見せているのです。

ただ、ディズニーとしても、この戦いは全く余談を許さない展開になると思います。ネットフリックスも確実に力をつけているからです。2018年のエミー賞ノミネート作品は前年1位のHBO社を抜いて1位(112作品)に登るなど、コンテンツ製作力は確実に上がっています。

また、2019年1月に正式にこの業界への参入を宣言したアップルの存在も不気味です。動きの激しいこの業界の競争には、これからも全く目が離せません。