ディズニー、Hulu株の70%を取得へ
先月2019年2月にディズニーがAT&TからHulu株を買い取り、Huluへの影響力を増そうとしているとの報道がなされました。
定額制で見放題の動画配信サービスのHuluへは、ディズニーがもともと30%の株を保有していましたが、21世紀FOXの買収によりさらに30%Hulu株を取得し、60%への保有比率を上がる予定でした。そこにさらに、2018年秋頃の決算で10%分のHulu株を手放すことを言及していたAT&Tから株を買い取り、ディズニーはこれでHuluの70%取得する大株主になることになります。
ディズニーはHuluへの影響力を強めていますが、Huluを買い取る価値について考えていきたいと思います。
Live TVに舵を切り始めたHulu
Huluと言えば、同じく動画配信サービスの最大手のネットフリックスの劣化版というイメージがありますが、そのイメージのままでは、この会社の持っている力を見誤る恐れがあります。
日本でこそHuluは「ネットフリックスでもアマゾンプライム・ビデオでも見れる比較的著作権のゆるい映画・番組」+「放送し終えた日本テレビの番組」が見れるサービスという立ち位置になっていますが、アメリカのHuluのサイトを見ると「Hulu + LiveTV」というカテゴリを推しだしており、スポーツやTV番組生放送のコンテンツをHulu内で見れるようにする試みに熱を入れています。
200万人のLive配信会員
そして、ブルームバーグによれば、HuluのLiveTVオプション契約をしているユーザは200万人に登り、youtubeのライブ配信視聴ユーザ100万人に比べて2倍も大きな規模になっているそうです。
ネットフリックスのストック型、Huluのフロー型
もちろん、全米で1億近いユーザ数を抱えるネットフリックスと比べたら、現時点でLiveTVの規模は取るに足らないくらい小さいものです。しかし、ネットフリックスのコンテンツが「いつでもユーザの好きな時間で見れる映画やドラマ」なのに対し、Huluは「リアルタイムであることに価値があるコンテンツ」という対比がきちんとできつつあります。
コンテンツをストックするネットフリックスと、リアルタイム性に価値をおくHulu。
ネットフリックスとガチンコの血で血を拭うレッドオーシャンにならないように、戦い方を変えてきた印象があります。
そして、ディズニーにとってはこのHuluの新しい戦い方は極めて相性がいいです。従来からABCやESPNなどをリアルタイム性の高いコンテンツを多数抱えているからです。
ディズニーが今後配信予定の3つの動画配信サービスの色分け
となると、今後ディズニー傘下で配信予定の3つの動画配信サービスの棲み分けも少しずつ見えてくる気がします。
- スポーツ特化の動画配信サービスESPN+
- 株のニュースやスポーツなどリアルタイム性を重視したコンテンツを提供する動画配信サービスHulu
- ディズニー映画、スターウォーズなどキラーコンテンツを配信するディズニー+
ESPN+とHuluが少しかぶるものの、現時点から透けて見えるディズニーの動画配信サービスの棲み分けはこのように整理できます。