すでに先日以下の記事でも書いたように、11月もアメリカはインフレが進んでいました。
>>2022年に7%も視野に入ったアメリカの消費者物価【2021年11月米消費者物価】
しかし、市場の債券投資家の動きやFRBのインフレ予想を見ていると、「このインフレは長く続かない」「2022年前半でインフレは弱まる」とも取れるデータが数多く見つかります。
確かに今よりも物価の伸びが弱まるかもしれませんが、2022年末になっても前年比5%以上もの消費者物価が居座り続ける可能性もわりと高いだろうと私は思っています。
そのように考える理由は、アメリカの家賃が住宅価格に遅れて2022年も上昇を続けるからです。
この記事のポイント
- 家賃などを含む「住居費」の項目は、消費者物価指数に占める割合が大きい。
- 過去30年のデータを見ると、「住居費」は住宅価格の伸びがピークをつけても1年以上伸び続ける傾向がある。
- 住宅価格の伸びは2021年8月頃にピークをつけた兆しがあるが、過去のデータ通りなら「住居費」は2022年後半まで加速して消費者物価を押し上げる。
消費者物価に大きな影響を与える「住居費」
このブログでは何度か触れていますが、アメリカの消費者物価の計算では「住居費(Shelter)」の伸びが重要視される傾向があります。
この「住居費(Shelter)」の中には家賃などが含まれるのですが、住宅価格が上がってもすぐには家賃には反映されないので、家賃を含む「住居費(Shelter)」の伸びのピークは住宅価格に遅れてやってきます。
上の図は過去30年分の全米の住宅価格指数の伸びと、消費者物価で計算に使われる「住居費(Shelter)」の前年の伸びをグラフにしたものです。
この図を見ると、「住居費(Shelter)」はだいたい全米の住宅価格指数よりも1年数か月遅れてピークがやってくることがわかります。
「住居費」が2022年後半まで伸び続ける可能性
2021年の全米の住宅価格指数を調べてみると、すでに2021年8月に伸びが頭打ちになっているようにも見えます。
もしも、過去のデータの傾向が今回も見られるなら、消費者物価を計算する上で重要視される「住居費(Shelter)」は2021年8月から1年数か月は物価の伸びが加速することになります。
つまり、2022年後半まで「住居費(Shelter)」は伸びそうです。
最新の「住居費(Shelter)」の伸びを見てみると、2021年2月から上昇が続いていますが、この上昇は2022年後半まで続きそうです。
この伸びが2022年後半まで伸び続けるとなると、アメリカの物価はそう簡単には下がらないだろうと予想できます。