11月のアメリカの消費者物価が発表されました。既に多くの人が既に知っているように結果は予想よりも低かったです。
「住居費」などで根強いインフレはまだ残っているのですが、その他の多くの項目では物価上昇の鈍化や低下が見られました。
2022年6月にピークをつけてから消費者物価の伸びは順調に下がっているので、インフレが再燃するまではもはや消費者物価に神経を使わなくて良いと思っています。
それよりも次は「景気後退がいつ訪れるのか」が投資の焦点になるはずです。
この記事のポイント
- 11月のアメリカの消費者物価指数は予想を下回る伸びだった。
- エネルギー・車などの製品価格・医療サービスは前月よりも大きな価格の下落が見られ、物価全体の伸びを抑えている。
- 消費者物価をもっとも大きく引き上げたのは住居費。だが、この住居費も2023年には伸びが鈍化すると見られている。
予想よりも低かったアメリカの消費者物価
11月のアメリカの消費者物価は、予想されたよりも伸びが緩やかでした。
- 消費者物価:前月比0.1%(予想0.2%)、前年比:7.1%(予想7.3%)
- 消費者物価コア:前月比0.2%(予想0.3%)、前年比:6.0%(予想6.1%)
強い物価の上昇に悩まされていたアメリカにとっては、11月も前月に引き続きオアシスのような印象を受けたかも知れません。
すくなくとも半年前に投資家が見ていた景色とはかなり様子が変わりました。2022年6月にピークをつけてから、一息つけるような物価の伸びの低下が見られています。
下のグラフは消費者物価が前月からどれだけ伸びたかを年率で表したものですが、7月からは物価上昇がペースダウンしていて、最近3ヶ月では年率3%台のペースが続いているようです。これは良い兆候です。
アメリカでインフレ鈍化が広がる
今回は項目別に見てもインフレ抑制の良い兆候が見られました。
前月比で価格を下げている項目がずいぶんと広がったように思います。
11月に物価が上昇したのは「住居費」と「食品」ですが、この2つはいずれ価格の伸びが急落すると見られています。
「住居費」については昨日の記事でも書いたように、先行する住宅価格の伸びが急落しているので2023年後半にも価格の伸びが急速に鈍化するはずです。
また、世界の小麦の価格は食品全体の物価に先行して動くことが多いのですが、既に小麦は2022年7月に価格の伸びが低下しているので、あと数ヶ月もすれば食品全体が下がってくると思われます。
これで、2023年にアメリカの物価の伸びが鈍化する目処が立ってきたと思います。
そうなると投資の次のテーマは景気を冷やしすぎてしまうこと(金融引き締めのやりすぎてしまうこと)、つまりアメリカの景気後退になるのではないかと考えています。