世界中の多くの投資家が注目していた、6月のアメリカの消費者物価指数が発表されました。
既に結果を知っている人も多いと思いますが、1981年以来の40年ぶりの高水準となる前年比+9.1%の物価上昇を記録しています。
発表された当日は米国株はあまり大きく下げませんでしたが、これで7月の金融政策会議(FOMC)では1.0%の大幅な利上げがほぼ確定したと思われます。
急な利上げが続く中では株価の大きな上昇は見込めないので、私はまだまだ米国株を悲観的に見ています。
- 6月のアメリカの消費者物価は前年比+9.1%で上昇し、40年ぶりの高水準を記録した。
- 金利先物市場の投資家たちは、7月のFOMCでの利上げ幅を0.75%から1.00%予想に引き上げた。
- 消費者物価が発表された日に株価は小幅な下げに踏みとどまったように見えるが、私は警戒モードをまだ解いていない。
予想を上回った6月のアメリカの消費者物価
昨晩発表された、6月のアメリカの消費者物価は予想を大きく上回ったようです。
- 前月比:1.3%(予想1.1%、前回1.0%)
- 前年比:9.1%(予想8.8%、前回8.6%)
4月に一時的に物価の上昇が緩やかになったときに「ピークを超えたかも知れない」と言っていましたが、その考えは甘かったようです。
グラフを見てみると、2021年からずっと物価の伸びは順調に大きくなっています。
2%の物価上昇を目指しているFRBにとっては、今回の9%の物価上昇は黙っていられないはずです。
なので、早くも投資家たちは今月末に行われるFOMCでの利上げ予想を、0.75%から1.00%に引き上げています。
株価はそれほど大きく動かず
一方で、株価はそれほど大きく動きませんでした。
危険なほど大きな1.00%の利上げが予想されている割には、小幅な下落です。
一部の投資家からは「今回の消費者物価が最悪のデータになるはずだ(これからはもう少し物価上昇はマイルドになる)」という声も聞こえます。
その考えも全部は否定しません。たしかに、原油価格は下がっていて、これ落ち着けば6月のような急な物価の上昇は一段落はする可能性はあります。
また、クリーブランド連銀の消費者物価予想(Inflation Nowcast)では、7月の消費者物価は8%台後半に弱まるという推計も出ているので、物価低下への希望がないわけではありません。
しかし、目指している物価は一時的な8%台への低下ではなく、安定的な2%への低下です。
かつて9.1%まで消費者物価が上がった時、アメリカでは政策金利を9%〜12%にまで引き上げていたことを考えると、7月に政策金利が2.50%〜2.75%に上がったとしてもまだ低すぎます。
株価に悪影響を与える急な利上げはまだ続くと思います。
現時点で考えている今後の見通し
私の考えでは、今は株を買わなくていいと思います。というよりも、これから約1年くらいは株は買うつもりはありません。
これからはアメリカの実質GDPがマイナス成長になっても、物価を抑えるために利上げを続けなければなりません。過去にそのような状況が起こった場合には、株価は最高値から約50%の下落をしてます。
>>GDPマイナス成長でも利上げを続ければ、米国株は最高値から半値に
この1年の間に利上げが続いて景気の悪化があり、ようやく金融緩和に転じても更にまだ株価が下がる状況を経ないと、株価も経済も底入れしないと思っています。