アメリカの12月の消費者物価の発表があったので、結果を確認してきたいと思います。
このブログでは消費者物価の発表前日から「インフレは鈍化傾向が続く」と言ってきました。12月のアメリカの消費者物価はわずかに予想よりも高かったですが、おおむね今までの緩やかなインフレ傾向が続いたと見ていいと思います。
この記事のポイント
- 事前の予想はわずかに上回ったが、アメリカの消費者物価は12月も緩やかなインフレ鈍化トレンドの中にいると見て良さそう。
- 市場は消費者物価の発表を受けても、3月の利下げ開始予想を変えていない。これは株価にはプラス材料となる。
- 1970年代と同じように推移している消費者物価は2024年7月までは下がると思われるが、その後もインフレ鈍化が続くか否かは要注目。
予想は上回ったが緩やかなインフレ鈍化は継続
12月のアメリカの消費者物価の結果を見ていきましょう。
事前の予想をわずかに上回りましたが、おおむね予想通りとなりました。
- 前月比:0.3%(予想:0.3%)
- 前年比:3.4%(予想:3.2%)
価格の変動が大きいエネルギーや食品を除いたコア指数でも、同じような結果が得られています。
- コア前月比:0.3%(予想:0.3%)
- コア前年比:3.9%(予想:3.8%)
残念ながら、予想を超えたものがいくつか見られますが、全体としてはそれほど悪くない印象です。下図で消費者物価の前年からの伸びをグラフ化しましたが、引き続き鈍化傾向は続いてると言って良いと思います。
消費者物価の発表後はしばらく株も国債も売られるような動きも見られましたが、1日の取引が終わってみれば下げた分を取り戻して、ほぼ無風で消費者物価のイベントを消化した形になりました。
投資家による政策金利予想をFedWatchで確認しても、消費者物価の発表前後で大きな差はありません。
特に、大きな問題なく市場は3月からの利下げを期待しているようです。前日にも言いましたが、景気が崩れずに耐えている段階での利下げは株価にとってはプラス要因になると思います。
というわけで、今回は12月の消費者物価はわずかに予想を上回ってしまったものの、それほどダメージの大きくないイベントとして通過できたと思います。
さいごに
今までもこのブログで書いてきたように2021年から始まったアメリカのインフレは、上昇率は違えど1970年代と同じような伸びと鈍化のパターンを繰り返しています。
そして、今回12月の消費者物価もやはり1970年の動きにピタリと合わせて動いているようです(下図)。
この傾向が続くなら、2024年7月までは消費者物価指数の伸びは鈍化傾向が続くはずです。
問題は2024年7月以降の動きでしょう。
私は2024年7月以降もアメリカの消費者物価は低下が続いてあとに、景気後退をすれば一時的に2%を下回るような水準にまで落ちるだろうと思っています。しかし、このような意見は少数派であることも認識しています。
世の中が言うようにソフトランディングを達成して再び景気が上昇するのか、そうなった場合にインフレは安定したままでいられるのか、2024年後半は注目すべき点がいくつかありそうです。