コンテンツへスキップ

予想よりも長引いている新型コロナウイルスとの戦い

  • by

新型コロナウイルスに関して、少し意見を変えないといけないなと考え始めています。

私は2021年1月にアメリカの新型コロナウイルスの新規感染者数がピークをつける前後で、「ワクチンが普及すれば収束に向かうので、1月が最後の大規模の感染拡大だ」と言ってきました。

ただ、当時はまだ見えてなかった問題が最近になっていくつか分かってきました。

1つはワクチンを打ってもコロナ前の日常にすぐに戻れるわけではないこと、さらにアメリカは世界中からモノやサービスを輸入しているので新興国の感染拡大が続く限り、原材料不足によるインフレは止まらないことです。

この記事のポイント

  • ワクチン接種済みの人への感染も広がり、ワクチンを打っていれば感染しないものではなくなっている。
  • ワクチンの効果をすり抜ける変異株によるものなのか、人の交流が増えたためなのか、ワクチンの効果が時間とともに薄れているのかは不明。
  • 幸い重症化率や死亡率は抑えられているので、2020年のような景気の悪化が再び起こる心配はないが、景気回復の道は一直線ではなく、好調と不調を行き来するかも知れない。

ワクチン接種が進む国でも新型コロナ感染は拡大


少し困ったことなのですが、「新型コロナウイルスは、ワクチンを打っていれば感染しない」というわけではないようです。

以下の8月24日のロイターの記事を見ると、最近のロサンゼルスでの新規感染者の25%はワクチン接種済みなのに感染しています。

>>米でコロナワクチン接種完了後の「ブレークスルー感染」増加(ロイター)

そういう背景もあって、今のアメリカの感染者数はかなり増えてきています。

アメリカの新規感染者数

幸い、以下の死亡者数の変化を見る限り、コロナによる死者はワクチンが普及する前の2021年1月ほどは高くなっていないので、重症化を防ぐワクチンの効果はまだ十分にあるようですが、ワクチンがかなり普及しているのに新規感染が広がっているのは心配です。

アメリカの新型コロナウイルスによる死者数

最近になって感染が拡大した理由については、正直よくわかっていません。

新型コロナウイルスが変異したことが主な原因なのか、経済が再開して人との交流が増えたことが原因なのか、それともワクチンの効果が時間とともに薄れたのかは専門家でも意見が割れているようです。

個人的には、ワクチンによる免疫が時間とともに薄れてきている可能性があるかなと思っています。いち早くワクチンの接種を進めたイスラエルでは、まもなく1日の新規感染者数の記録を更新する勢いになっています。

ワクチン接種が進んだイスラエルでも感染者数が拡大

それなら、3回目のワクチン接種で再び感染拡大は収まるのかもしれませんが、いずれにしろ想定していたよりも、新型コロナとの戦いは長引きそうです。

コロナが長引くことの影響


少し前までは、新規感染者数が増えても、死者数は増えなければそれほど経済に影響がないのではないかと考えていました。

たしかに、2020年3-4月のような大きな経済の低迷はもう起こらないと思いますが、新型コロナウイルスの感染拡大はそれなりに経済に影響が出ることも分かってきました。

具体的にはこちらの記事も触れましたが、次の3点です。

  • 新型コロナウイルスによって、景気回復の勢いはサービス業を中心に鈍化する。(景気回復の鈍化とデフレ圧力)
  • アメリカで感染が拡大している間は、求人をかけても人材が集まりにくい。(賃金上昇によるインフレ圧力)
  • 新興国で感染が拡大している間は世界の工場の生産が落ち、アメリカ企業で原材料不足になる。(原材料高によるインフレ圧力)

要するに感染が拡大すると景気拡大のペースは鈍くなります。

昔はワクチンが普及すれば一直線に景気回復に向かうと思っていましたが、思っていたよりもコロナとの戦いが長引きそうなので、景気は好調と不調を繰り返す形になるのかも知れません。

一方で、物価については景気回復の鈍化でインフレが低くなる力と、人材が集まらなくて賃金上昇が起こるインフレの力、さらに原材料高騰のインフレ圧力のどれが強いかによるので、かなり読みにくい展開になりそうです。

「インフレは一過性だ」と決めつけることなく、頭の片隅に「インフレ率の高止まりもあるかも知れない」と気をつけながら投資をする必要もあるかも知れません。

さいごに

この記事では、新型コロナウイルスとの戦いが意外にも長期戦になっていることを書いてきました。

以前の私はワクチンが普及さえすれば、2021年1月のピークを最後にコロナの脅威は過去のものになると思っていましたが、そうではないようです。

2020年ほどではないですが、感染が拡大すれば景気回復が陰ることも分かってきました。

こうなると少し心配なのは、アメリカのこれからの金融政策です。

現段階では、アメリカの景気がコロナから順調に回復すること見越して、2021年内の債権購入の縮小や、2022年の政策金利の引き上げが予想されていますが、前提になっている景気回復がきちんと実現されるのかが気になるところです。


本ブログからのお願い

この記事は、読者が自由に記事の金額が決められるPay What You Want方式をとっています。

「役にたった」「面白かった」など、何かしら価値を感じた場合は、YUTA'S INVESTMENT TICKETをクリックして、価値に見合った金額をお支払い下さい。

価値がないと思った場合には、お支払いは不要です。同じ記事を読み返して、新しい気づきがあった場合には、1人で何回クリックしても問題ありません。