ほとんどの米国株の投資家の間では、新型コロナウイルスの脅威は過去のものだという認識があります。
しかし、この記事を書いている時点で、CNBCなどの投資情報の番組を見ているとアメリカのコロナの脅威はまだ終わっていないという声もたまにチラホラ聞こえます。
「もしも本当にまだ脅威が残っているなら、投資をする上でもそれは困るな」と思ったので、念のため2021年7月19日時点の感染状況を確認してみました。
この記事の結論としては、(あくまでも素人の私の見た限りでは)アメリカに新型コロナの脅威が残っているとは感じませんでした。
近い将来に、状況が変わって新型コロナウイルスの感染状況を再び調べなければならなくなった場合に備えて、念のため、現時点でのデータとそれを見ながら何を考えたのかを、この記事にまとめておきます。
この記事のポイント
- 2021年7月18日現在、アメリカの新規感染者は増加傾向にあるが、死亡者数は大きく上昇している傾向は見られない。
- アメリカと同程度のワクチン接種率で、先に新規感染者数が上昇しはじめたイギリスを見ても、死亡者の増加は見られていない。
- 先行するイギリスの例を見る限り、アメリカに新型コロナウイルスの脅威が残っているようには見えない。
感染者が再び増加に転じているアメリカ
まず、この記事を書いている時点で最新のアメリカの新型コロナの感染状況を確認してみます。
次のグラフは、アメリカの新規感染者数の推移を見たものですが、6月末からやや増加していることが確認できます。
2021年1月からワクチン接種が本格化して、新規感染者数は大きく減少傾向にありましたが、確かに最近は少し感染者が増加しているようです。
もう1つ不安材料と言われているのはワクチン接種の伸び悩みです。2021年前半はハイペースで接種が進んでいましたが、最近では伸びが鈍化して集団免疫が必要と言われている75%にはまだ届いていません。
幸い、6月下旬から1ヶ月ほどアメリカで新規感染者数が増加しても、死亡者はほとんど増えていません。
感染者が増えても死亡者さえ増えなければ、人々は恐怖から開放されて日常を取り戻せるので、死者が増えないことはかなり重要です。
ここまでの現状をまとめると、アメリカでは新規感染者が増えたり、ワクチン接種率が伸び悩んでいるものの、肝心な死亡者数は減少傾向を保っていると言えます。
先行するイギリスとの比較
ただし、死亡者数が増加に転じていないことが分かっても、新規感染者が増加してから死亡者数が増える前にはタイムラグがあるはずなので、「死亡者がまだ増えていないだけ」なのか「ワクチンや治療法が進んで、新型コロナウイルスが死なない病になっているのか」はわかりません。
そこでアメリカと同程度のワクチン接種率で、アメリカよりも早く感染が再拡大しだした国としてイギリスを見てみることにします。
まず、イギリスの状況を確認しますが、ワクチン接種率は61%で、アメリカの52%をやや上回る数字を残していますが、この記事ではだいたい同じ程度とみなします。
そのイギリスでは、アメリカよりも感染の再拡大が早く始まっていて、今では1月のピークに迫るまで新規感染者が増加しています。
今の感染再拡大は5月から始まっていて、どんなにタイムラグがあろうとも死亡者数の増加は始まっていて良いはずですが、最近のイギリスでコロナの死亡者数の増加は見られません。
つまり、アメリカよりも早く感染再拡大が広まったイギリスを見る限り、コロナのワクチンや治療の進歩により、新型コロナは死なない病に変わってきたと見ることができます。
最後に
この記事では、最近ニュースを見ていて少し気になった「アメリカでコロナの脅威は終わっていない」という考えが、どれほど差し迫ったものなのかデータを見ていきました。
現時点で、私が見た限りではコロナの脅威は確認できませんでした。
イギリスだけではなく、同程度ワクチン接種が進んでいるフランスも見てみましたが、いずれも感染者が広がっても死者数が増えている傾向は見られず、新型コロナは死なない病に変わりつつある気がしています。
もちろん、これから新たな変異株が出てきたり、時間とともにワクチンの効果が減るようなことがあれば問題は再燃してしまいますが、今のところは投資家目線では新型コロナの脅威再燃はリスクの低い出来事として見ておいて良さそうです。