アメリカ経済における個人消費の重要性
アメリカのGDPの7割が個人消費が支えているので、消費者心理が悪化すると、個人消費者やアメリカ経済の今後が怪しくなってきます。つまり、消費者信頼感指数は、アメリカの心臓部と言っても良い個人消費を占う上で重要な位置を占めます。
最新の9月の消費者アンケート調査では、未だ好況はキープしているもののアメリカの消費者の景況感が9月に大きく落ち込んだ様子が明らかになっています。
9月に入ってから怪しい影がチラツキ初めた米消費者指数
最新のアンケート結果を詳しく紹介する前に、最近のアメリカの消費者の景況感をおさらいしておこうと思います。
アメリカの経済団体や労働組合で構成されるコンファレンスボード(全米産業審議会)という組織は、毎月5000世帯の消費者に景況感をアンケートして結果を数値化しています。19年8月までのコンファレンスボードの調査では、絶好調と言えるほど消費者の景況感も強かったです。
しかし、その様子は9月に入ってから、少し様子が変わり始めます。小規模ながらコンファレンスボードと同じような消費者調査を行っているミシガン大学の消費者指数では、8月に消費者の心理が悪化したことを示す数字が挙がってきました。
同じ8月に実施したコンファレンスボードとミシガン大学で差が顕著に現れ、どちらが消費者の「今」を現しているのか、解釈に困る結果となりました。そして、その1ヶ月後、今後はコンファレンスの最新の9月のデータも、消費者心理が落ち込んでいることが示されました。
9月のコンファレンスボード米消費者指数は予想を下回る大幅下落
それでは、9月のコンファレンスボード米消費者指数を見ていきます。
- 消費者信頼感指数は予想133を大幅に下回る125.1。
- 消費者信頼感指数の前月134.2から125.1への低下幅は今年最大を記録
- 現況指数は169に低下-3カ月ぶり低水準
- 期待指数は95.8に低下-前月106.4からの下げ幅は今年最大
特に、今後の見通しを占う期待指数は大幅に悪化し、前月からの下げ幅は今年最大を記録しています。8月末の米中の貿易や関税をめぐる緊張が、消費者を動揺させた可能性があるとの見方が広がっています。
とはいえ、今はまだ全然心配ない状態ではあります。現況指数は3ヶ月ぶりの低水準ではありますが、まだ169と今の消費者の景気が絶好調であることを示しています。
10月から始める6-9月の決算では、消費者向けサービスを提供する企業からはいい結果が出てくると思われます。9月までの現況指数が好調をキープできたことで、2019年6-9月期のアメリカのGDPもおそらく問題なくパスすると思います。
アメリカの懸念点とすれば、次の10-12月のガイダンスが悪化する企業が多い恐れがあることです。なので、「結果は良いもののガイダンスが悪い」というような清濁合わせた決算報告になり、株価は発表後に微妙な動きをするものが多くなる気がします。