数年先を考えて投資する人なら、そろそろ低金利時代の終わりを具体的に意識しないと行けないだろうなと思っています。
最近のアメリカの金融政策を決めるFOMCと呼ばれる会議の様子を見ても、2022年から政策金利が引き上げが始まり、経済が順調なら2024年まで金利の上昇が続きそうです。
低金利なら株高になりやすいので、今までは割高でもほとんど下落しない米国株が数多くありましたが、2-3年以上保有するつもりで個別株に投資しようと考えている人は、低金利が終わることを視野に入れて銘柄選択をしたほうが良いだろうと思っています。
この記事のポイント
- 2021年の米国株は低金利を背景に、割高で高値がついている個別銘柄が数多くある。
- しかし、2022年から政策金利が引き上げられることを考えると、低金利で割高になっている銘柄への中長期投資は要警戒。
低金利を背景に全体的に割高になっている米国株
まず2021年9月時点の米国株全体の状況を確認していきたいと思います。
既に知っている人も多いと思いますが、米国株はかなり割高です。
次の図はS&P500の10年間の割高度(12か月後の予想PER)をグラフ化したものですが、2021年はかなり割高な状況が続いています。
S&P500が割高になっている理由にはアップル、マイクロソフト、アマゾンなど時価総額の大きい企業の株高が続いていることもありますが、一部だけではなく幅広い株で高値が続いていることを考えると「低金利を背景に株が買われた」と見て良いと思います。
ゼロ低金利は2022年に終わり、2024年には悪影響が出る恐れあり
米国株は低金利を背景に買われていたとして、問題はこの金利の低い状態があと数年で終わってしまうことにあります。
もともとコロナによる不況に対応するために中央銀行FRBが低金利にしていたので、アメリカの景気の拡大が続けば、いつか終わるのは自然のことです。
そして、この数カ月間のFRBの動きを見ていると、どうもアメリカのゼロ金利政策は「いつか終わる」ではなく来年2022年に終わり、2024年まで少しずつ時間をかけて政策金利は上昇していくようです。
>>9月FOMCは無事に通過。気になったのは2024年の金利見通し。
2022年に政策金利がゼロでなくなると、すぐに株価に悪影響がでるわけではありません。
詳しい理由は上記の記事にも書いたのでここでは省きますが、私は2024年にも金利上昇の悪影響で米国株が下がると思っています。
この読みが正しいなら、一度購入したら2-3年以上は保有をするような中長期投資家の場合は、今後起こりうる金利上昇を見越して買う株を選ばないといけなさそうです。
注意すべき銘柄の例
どのような銘柄への投資は気をつけたほうが良いかの例をいくつか見ていきます。
まずは(1)予想PERが高い銘柄です。
たとえば、アドビの過去のPERの変化を見る限り、どうも今は割高に見えるのでまだ買い場ではないというのは、先日の記事でも書いたとおりです。
次に(2)予想PERはそれほど高くなくても、利益の伸びが低い企業も注意がいるかもしれません。
たとえば、アップルの予想PERは26で先ほどのアドビに比べたらそこまで割高には見えません。
しかし、2022年や2023年のアップルは一株利益(EPS)がほとんど伸びないと見られています。
もしも一株利益(EPS)の伸びが大きいなら、割高度PER(上の表記ではPE)を小さくした状態で政策金利が上昇する2023年や2024年に突入するはずですが、アップルの場合はほんとんど期待できません。
業界は違うので単純比較はできないのですが、以下のジョンソン&ジョンソンを見てみましょう。
ジョンソン&ジョンソンのほうがアップルよりも2021年の予想PER(表記PE)が小さく割安にも関わらず、一株利益の成長はアップルよりも大きいので、年を経るごとにますます予想PERが下がっているのがわかります。
今、長期投資をするならどちらが良いかと言われたら、私ならアップルよりもジョンソン&ジョンソンを選びます。
さいごに
ここでは、2-3年以上の長い期間で保有する投資家は今後控えている金利上昇に巻き込まれないように、割高な銘柄は避けたほうが良さそうだという記事を書きました。
誤解を与えないように言うと、まだしばらく(1-2年程度)は米国株は上昇する余地があると思っています。
過去の米国株の動きを見ていると、政策金利が上昇してから数年は株価が上昇することが多いからです。
最初の利上げから景気後退までの期間は、思っているよりも長い。
政策金利の引き上げられ、最終的に景気後退につながれば米国株に大きな下落があるのではないかと心配しています。しかし、実際に調べてみると、政策金利を引き上げてから景気後退になるまでは、かなりの長い期間がかかっていることがわかります。
なので、保有している株を今すぐ売って下落に備える必要はまだないと思います。
しかし、中長期投資を考えている人なら、これから金利が上がることを考えて割高な銘柄を避ける必要がありそうです。