先日、中国の2019年6月の貿易統計が発表されました。
今回の貿易統計は、5月に中国からアメリカへの輸出品の2000億円の相当に対して、10%から25%に関税を引き上げた後のデータだったので、注目が集まりました。
しかし、輸出は前年比で減少したものの、その減少幅は事前予想よりは小さいものにとどまっています。では、実際に中国の6月の貿易統計の結果を確認してみましょう。
- 輸出は事前予想-2.0%に対し、発表値が前年比-1.3%
- 輸入は事前予想-4.5%に対し、発表値が前年比-7.3%
まず、輸出は予想ほど悪化せずに、前年比-1.3%に踏みとどまっている印象です。ひとまずは、安心しました。
しかし、6月と言えば、まだ当時は6月末の米中首脳会談の内容によっては追加でさらなる大幅な追加関税を課せられる状況だったので、関税が上がる前の駆け込み輸出で6月の輸出が踏みとどまったのかも知れません。
なので、輸出については、7月の貿易統計でも再度減速していないか確認する必要がある気がしています。
2ヶ月連続で予想を大幅に下回った中国の輸入
しかし、気になるのはむしろ輸入の方です。輸入の減少が2ヶ月連続で、予想を大幅に越えて悪化しています。
5月の輸入の減少も合わせて振り返ってみてみましょう。
- 5月の中国への輸入:事前予想-3.8%に対し、発表値が前年比-8.5%
- 6月の中国への輸入:事前予想-4.5%に対し、発表値が前年比-7.3%
何か悪すぎやしませんか。
当然ながらこの輸入には、アメリカ以外の国からも多くの割合で含まれています。輸入総額で10%も満たないアメリカからの輸入を一部意図的に減らしたとしても、ここまでの悪化はしないはずです。
また、前年同月で何か特殊要因があったのか、とも思いましたが、特に該当するものがすぐには見当たりませんでした。もし、私が前年の特殊要因を見落としていたとしても、事前予想には特殊要因は組み込まれているはずなので、予想よりも悪化している説明がつきません。
普通に考えるなら、中国は政府が様々な景気刺激策を打っているにもかかわらず、中国国内の景気(内需)がよろしくない状況なのかと疑いたくなります。
そして、この予想外の輸入減速の影響を受けるのは、中国対して輸出している金額が大きい国々です。具体的に言えば、韓国、日本、台湾、アメリカですが、アメリカはまだまだ統計上はそこまで悪化してないものの、他の東アジア3国への影響が気になるところです。
2017年中国の輸入対象国・地域別ランキング
順位 | 国・地域 | 輸入割合 |
---|---|---|
1 | 韓国 | 9.7% |
2 | 日本 | 9.0% |
3 | 台湾 | 8.5% |
4 | 米国 | 8.5% |
日本や韓国の経済指標はそこまで追えていませんでしたが、世の中の注目が米中の貿易協議の合意から、世界の景気減速の進行度に移りつつあるので、浅く広く日本や韓国の主要な経済指標も洗ってみようと思います。