まだまだ事態は収束する気配を見せません。
9月1日からのアメリカの追加関税に対抗する中国の手段は、為替操作と農産物購入の停止のようです。
中国政府は8月6日にアメリカからの農産物の輸入の停止を宣言しました。また為替操作こそ中央銀行の人民銀行は否定しているものの、ロイターの取材にたいして内部に詳しい3人の人物が政府が1ドル7元を超える人民元安を容認したと証言しています。
参考記事:中国金融規制当局、1ドル7元超える元安を容認=関係筋(ロイター)
このまま米中が態度を硬化させて9月1日にアメリカの追加関税が発動されるようであれば、予定していた株の売却ペースも早める検討も必要かなと感じています。
急変した中国政府の対応
事態の収束どころか、中国側はアメリカ農産物の購入に対して、急に態度を硬化させた印象があります。
8月6日に中国国営の新華社通信が国営企業のアメリカ農産物購入を停止にしたと報道しましたが、そのたった半日前までは、中国国営中央テレビが「中国は米国産の農産物の購入を続けている」と主張していたからです。
国営テレビの報道内容には、中国政府のメッセージが含まれています。つまりたった半日で中国はアメリカに対して、態度を硬化させたことになります。恐らく、アメリカも追加関税賛成派のトランプ大統領と、これ以上の貿易戦争の過熱は景気を悪化しかねないとする反対派のアドバイザー達との討論があったように、中国でも報復措置への賛成派と反対派がいる可能性が高いです。
参考記事:アドバイザーの反対を押し切ったトランプ大統領。関税引き上げツイートの舞台裏。
米国が態度を強めていく8月5日までは、「中国はアメリカの農産物を買っている」歩み寄る姿勢が強かったものの、5日夜にかけてアメリカが中国が為替操作をしてると批判を強めたことで、態度を硬化させたようにも思えます。
貿易戦争の行方によっては、売却ペースを早める必要性
2018年11月のOECDの試算では、もしも米中が全商品に関税をかけた場合、2021年にかけてアメリカは1.1%、中国は1.3%、世界は0.8%GDPが押し下げられると予想しています。そして、残念ながらアメリカ側は税率こそ最高ではないものの、9月1日の追加関税が発動されればほぼ全商品に関税がかかることになります。
1%前後のGDP押し下げ効果は、著しく大きなマイナス要因です。OECDが2021年で試算しているように、この関税の影響はジワジワと長く続くほど影響が大きくなります。
さて、どの段階で両国が歩み寄るのか、それとも歩み寄らずに9月1日に関税が発動されてしまうのか、まだまだ静観して見届けたいと思います。もし9月1日に関税が発動されるようであれば、予定よりも売却ペースを少し早める必要があると思っています。