アメリカとの貿易戦争に揺れた中国の2019年第二四半期GDP成長率が前年比6.2%で、27年ぶりの低水準になりました。
これは政府が事前に宣言している2019年のGDP成長率6.0-6.5%の目標値の範囲内には収まっていますが、2019年第1四半期の6.4%成長からも減速し、今後下振れできる範囲もわずかになっています。
なお、今回のGDP成長率の低迷は、中国政府が数々の景気刺激策を打っていながらも低水準に沈んだ点も、見逃せません。2019年入ってから、成長を支えるために2兆元(約30兆円)近くの大幅な減税と、地方自治体による特別債券発行のための2.15兆元(約33兆円)の割り当ての発表など積極的に景気刺激策を打ち出してきました。
それにも関わらず、1992年ぶりの低成長に沈んだ理由について、ロイターもCNBCもアメリカの貿易戦争が影響していると見出しに打ち出しています。
China second-quarter GDP growth set to slow to 6.2%, 27-year low, as trade war bites(ロイター)
China posts its lowest quarterly growth in 27 years as trade war drags on(CNBC)
米中貿易がGDP成長率の低迷の原因だと本当だとすると、少し困った事態です。6月末の米首脳会談で、追加の制裁関税の発動は避けられることになりましたが、3回に渡って2019年5月まで発動した中国からアメリカへの輸出品(合計2500億ドル相当の商品)への25%の関税は、今もなお継続して中国経済にダメージを与え続けています。
単位:ドル | 米国 | 中国 |
---|---|---|
第1弾 | 340億(25%) | 340億(25%) |
第2弾 | 160億(25%) | 160億(25%) |
第3弾 | 2000億(25%) | 600億(10-25%) |
第4弾 | 実施せず | 実施せず |
未だに米中貿易協議は妥協点を見いだせておらず、2500億ドルの制裁関税が解除されるのも時間がかかる見通しです。今後も引き続き、中国の景気を冷やす恐れがあります。
参考記事:貿易戦争の休戦後も残る関税。中国経済に影を落とす恐れ。
株式投資家としては、すぐに何か対応が必要なわけではないですが、傾向として中国の経済がよろしくないこと。更に、中国への売上比率が大きい企業への投資は引き続き注意が状況に変わりはありません。