前の記事では、米中は両国ともにこれ以上の関係悪化は経済の悪化につながると考えたのか対立の激化は止まりつつある、代わりにトランプ政権はFRBへの圧力をましていると記事を書きました。
中国からFRBに焦点を移し始めたトランプ大統領。大幅で迅速な利下げをせまる。
しかし、この記事を上げた直後に本当に残念な速報が入ってきました。
中国人民銀行は、人民元の売買基準値を11年ぶりの低水準となる1ドル7円台に切り下げたようです。11年前といえば、リーマンショックがあった2008年依頼の低水準です。
中国が元を安く設定したこの行動を受けて、アメリカがまた反撃に出るのは必須です。それは、この2日間ほど落ち着いていた米中関係が再び悪化し、景気後退懸念がまた強まることを意味します。
1ドル7元が持つ意味
この7円台よりも元安にするか否かは、単なるキリのいい数字以上に意味があります。
つい先日の2019年8月5日、市場の価格で1ドル7元を超えて元安になり、アメリカは中国を「中国は貿易で不公正に有利になるために人民元安を誘導してきた」と非難して、為替操作国に指定し、中国に対応を迫りました。
為替操作国についてはこちらを参照:アメリカが中国に認定した為替操作国って何?
その翌朝、中国は基準値を1ドル7元よりもわずかに元高に設定して、アメリカと中国の関係は一旦落ち着きを取り戻した経緯があります。アメリカ政府が1ドル7元を一つの節目と見ていたのは、間違いありません。
今回の切り下げの数日前、人民銀行は市場で1ドル7元台突入したとしても、6元台にまで元を買い戻すことは不可能ではないと発言をしています。それが本当であれば、今回1ドル7元を超えて元安に基準値を設定してきたことは、一種のアメリカへの攻撃と受け取られかねない行為です。
この中国の行動から、一段と投資家が株から資金を引き上げ、債券などの安全資産が買われる動きがあるのか、アメリカ政府はどうでるのか、注目があつまります。