政策目標値の下限まで減速したGDP成長率
中国の景気はやはり良くないです。2019年第3四半期のGDP成長率が発表されましたが、政府目標の6-6.5%の下限にタッチする6.0%成長です。これ以上の悪化は許されないところまで、景気が減速しています。
- 予想:前年比6.1%
- 結果:前年比で予想を下回る6.0%(前期は6.2%)
- (政府目標:2019年のGDP成長率は6-6.5%)
なるほど、中国はアメリカとの貿易協議を急ぐわけですね。2019年第2四半期の6.2%成長の時点ですでに27年ぶりの低い成長率と言われていましたが、それを超える形になりました。
世界の景気減速はまだ止まらず
以前このブログでも書いたように、最近の世界の経済と貿易の低迷は中国がかなりの原因を占めていると私は思っています。そして、その中国の景気が2019年3Qで下げ止まっていないことが確認できたので、世界の景気もまだしばらく下がると感じました。
よく米中の貿易戦争が話題に上がって、それが世界経済を悪化させているという論調がありますが、アメリカが制裁関税を発動する2018年3Qよりも前から、中国のGDPの内訳は変調をきたしていました。具体的には、以下のGDPの内訳を見ると、表で「国内」と表記した「消費+投資+政府支出」の合計は関税を強化する前から減少しているのがわかります。
中国は国内の景気が悪化していて中国の輸入が激減しているために、中国にモノを輸出する世界の工業国が不況に陥っています。
時期 | 国内 | 貿易 | GDP成長率(国内+貿易) |
---|---|---|---|
18年1Q | 8.1% | -1.3% | 6.8% |
18年2Q | 7.5% | -0.8% | 6.7% |
18年3Q | 7.1% | -0.6% | 6.5% |
18年4Q | 5.9% | 0.5% | 6.4% |
19年1Q | 4.9% | 1.5% | 6.4% |
19年2Q | 5.0% | 1.2% | 6.2% |
その中国の景気の悪化が止まっていない以上、今後の時間をかけて2020年頃から世界の景気もやはり暗い影が漂う気がしています。
世界に景気の減速が伝わるまでにはタイムラグがある上に、アメリカの場合は国内の景気がそこそこ強いので影響を受けるのが遅いと思われますが、可能性があるのは2020年後半から2021年にかけて景気の景気の低迷です。
2020年夏に米景気後退か。ニューヨーク連銀の予測モデルが警告。
株価の下落はアメリカ経済の変調よりもずっと早く来るので、2019年末から2020年明けにかけて一度株の保有比率や資産の構成を点検しようかと思います。