米中貿易戦争が加熱する中、先に政策金利を下げるのは、中国かも知れません。
6月13日に公開されたロイターの記事によると、今後数週間以内に中国の政策金利の利下げや銀行の預金準備率の引き下げが行われる見通りだと中国国営の英字新聞Daily Chinaが伝えたようです。
China is expected to adjust money and credit supply in coming weeks, including cuts to interest rates or reserve ratio requirements, to counter “downside risks” if trade tensions escalate further, China Daily said, citing economists.(Reuter)
China Daily紙によると、中国は貿易戦争の加熱による”経済の下振れリスク”に対応するため、今後数週間以内に金利や銀行の預金準備率の引き下げを通じて、市場に流動性の供給を調整する見通しだ
中国の金融政策を追いかけている人には「既に5月に銀行の預金準備率を引き下げて、市場にお金が回るようにしてなかったっけ?」という方もいるかもしれません。
はい、既に2019年5月に中国人民銀行は地方銀行と中小企業の支援のために、預金準備率を2018年1月以来の低水準にする景気対策を発表しました。この引き下げは5月15日、6月17日、7月15日の3段階で実施される予定で、今後2回も準備比率の引き下げが予定されていました。
しかし、この金融策にもかかわらず、6月12日に公式発表された2019年5月のマネーサプライや新規ローンの伸びは予想を下回り、加えて5月の中国の消費者物価指数も2.7%まで減速して、中国人民銀行の公式目標の3%を下回る状況でした。
政策金利引き下げや預金準備率引き下げが再度発表されれば、短期間に立て続けに景気刺激策を打ち出すことになります。
中国人民銀行のトップのYi Gang氏が先週語っていたように米中貿易戦争が悪化した場合でも、中国に取れる景気刺激策はまだまだ途方も苦なく余地があるのは確かですが、急な政策運営に中国景気減速が透けて見える気がします。