少し気がかりだなと思うニュースを目にしました。
中国の景気は思っていたほど強くないのか、中央銀行は景気を支えるための金融緩和を予想以上の大きさで進めるようです。
中国人民銀、緩和姿勢に転換-予想超える幅で預金準備率引き下げ(ブルームバーグ)
預金準備率の引き下げがありそうなことは発表の少し前から聞いていましたし、金融政策を微調整しているだけなのかもしれませんが、予想を超える大きさで実施しているところに少し慌てている印象を受けます。
「中国株に投資してなければ、関係ないや」という話ではなく、アメリカよりも3ヶ月から6ヶ月ほど景気回復が先行していた中国の雲行きが怪しくなっているところには意味がある気がしています。
中国とその他の国では事情はかなり違いますが、新型コロナウイルスからの景気回復の寿命はかなり短いのかも知れないとも思っています。
この記事のポイント
- 中国は世界の国よりも新型コロナウイルスからの景気回復が早く始まったが、早くも景気拡大の鈍化も始まっている。
- 中国の中央銀行が予想よりも大きな金融緩和を追加で打ち出していることから、経済成長の鈍化は予想以上に早く進んでいるかも知れない。
- 世界の国々は新型コロナウイルスからの景気回復の中にいるが、中国と同じように今回の景気は予想以上に鈍化が早く訪れる恐れもある。
景気回復で先行していた中国
景気が好況と不況を繰り返す様子を景気サイクルと言います。
今の景気サイクルでは、中国がいち早く新型コロナウイルスの不況を抜け出したことから、中国は他の国よりもサイクルで先行しています。
※上図はこちらの記事で紹介したフィデリティのサイトからとってきています。
景気サイクルごとにどの業界株が強いかを調べるサイト【ビジネスサイクル・アップデート】
「今は景気の波のどこに位置しているのか」を把握し、「景気サイクルごとに、過去はどんな業界株が有利なリターンを上げたか」の知識を正しく持つことは重要です。この2つの手助けをしてくれるサイトを、この記事で紹介します。
世界に先駆けて景気が先行していた中国ですが、冒頭でもお話したように、すでに景気拡大がかなり鈍くなっている恐れがあります。
予想を超える追加の緊急緩和を行っている点を見ると、翌週発表されるGDPの数字もあまり良くないのかなと考えてしまいます。
新型コロナウイルスからの景気回復は予想以上に短い恐れ
気がかりなのは、景気サイクルで3ヶ月から6ヶ月先行していた中国で既に景気回復の鈍化が広がっているとすると、同じことが3ヶ月から6ヶ月先のアメリカで起こらないかです。
今でこそアメリカの景気はかなり強いですが、予想以上に景気の鈍化が早く起こるなら、投資も見直さなければなりません。
景気回復が予想より短い場合の投資の変更点
- もしも景気が急速に鈍化するならインフレ率も鈍化するので、インフレを見越した投資は一旦引き上げる必要があるかも知れない。
- 景気鈍化でも影響を受けにくい銘柄(利益を確保している大型成長株、ヘルスケア株、生活必需品株、公株共)に早めにシフトする必要があるかも知れない。
また、好調な景気を背景に、今のアメリカでは金融緩和の縮小をどう進めるか議論されていますが、景気の鈍化のスピードが予想よりも早い場合には、この議論にも影響を与えそうです。
まとめ
この記事では、景気サイクルで先行している中国で景気拡大が鈍化しているサインが見られるという話をしました。
ここで書いたことは、(1)中国でもしも景気の鈍化が広がっていて、(2)アメリカも中国と同じようにコロナからの景気回復が早々に鈍化するなら、という仮定を2つもおいた上で、アメリカもひょっとしたら景気拡大が短いかも知れないという心配事を書きました。
仮定に仮定を重ねている話なので、特にまだ警戒する必要はないと思っています。私も基本的には、アメリカは2021年に景気のピークがすぎても、2022年もそれなりの景気拡大が続くと思っています。
しかし、少しアンテナを張り巡らせて、頭の片隅で「ひょっとしたらコロナからの景気拡大は短いのかも知れない」「そうなった場合に慌てないように、投資のごく一部では守りを意識しても良いかも知れない」という考えはあります。