中国の景気の雲行きがどうもあやしいです。
この記事を書いている日に中国の中央銀行は景気を支えるための利下げに踏み切りましたが、そうせざるを得ない背景として中国が景気の低迷期に差しかかっている恐れがあります。
その場合、景気も株価もしばらくまだ下に向かうのだろうと思います。
この記事のポイント
- 中国は景気を支えるために12月20日にパンデミック以来初めて、利下げにふみきった。
- フィデリティの分析では、中国は景気の低迷期に差しかかっている可能性がある。中国は景気も株価もまだ底に達していない恐れがある。
- コロナ流行後の世界で中国は他の国よりも景気が先行していた。景気サイクルで中国の後を追うアメリカも、来年2022年の景気が心配。
利下げに踏み切った中国
世界はインフレになっている国が多く、政策金利を利上げしてインフレと戦おうとしている国が多い中で、中国は景気を支えるために利下げに踏み切ったようです。
>>中国、1年物ローンプライムレート下げ-不動産で打撃の景気支援(ブルームバーグ)
金融緩和になれきってしまっていると「利下げしたなら、中国の株にとってはプラス材料なのでは?」と考えそうになるのですが、今中国株にとびつくと痛い目にあうかもしれないとも思っています。
景気のサイクルを見ていると中国は不調な時期にさしかかったばかりで、これから1年も2年も景気も株価も沈むかもしれない可能性があるからです。
他の国より景気が先行していた中国で見られる低迷
ここでは新型コロナウイルスが流行した後の、世界の国々の景気サイクル(景気の好調と不調の波)を少し振り返りたいと思います。
2020年のパンデミックは中国で始まりましたが、一番最初にパンデミックによる景気の低迷から抜け出したのも中国でした。
次の図は2021年1-3月期の世界の国の景気の強さをフィデリティが絵にしたものですが、中国は他の国よりもひと足早くサイクルの先頭を走っていた様子がわかります。
それから半年以上たって上の図も更新されたのですが、2021年10-12月期の様子は以下のようになっています。
これを見る限り、中国だけが他の国に先行して景気が低調な時期に突入しつつあるようです。
そして中国恒大などの不動産企業の返済問題もあることを考えると、中国はさらにこれから景気が鈍化してもおかしくない状況だと思います。
なので、「12月20日に中国が利下げに動いたから中国株は買い」ではなく、これからまだまだ景気も株価も下がる余地があって、株が上昇するのは中国の中央銀行が何度も利下げをした後になる気がしています。
さいごに
中国の景気がやはり悪そうなこと、景気減速を食い止めるために中国の中央銀行は利下げをしたものの、恐らくまだ株価の買い場は来ていないということを書いていきました。
先日の別の記事で中国株はすでに割安に見えると言いましたが、まだ底が見えない状況なのでかなりの長期戦を想定して中国株に追加投資をしてきたいと思います。
また、アメリカは中国とは事情こそ違いますが、景気サイクルの波の上では中国を追いかけるように世界の国の2番手として景気の坂を下り始めています。
2020年から2021年にかけて景気が急回復した反動で、今度は景気が急速に鈍化しないか心配しています。