ファイザーとバイオンテックが開発した新型コロナウイルスのワクチンが、最終試験で90%超えで感染を防ぐ効果を発揮したとの発表がありました。
>>ファイザーの新型コロナワクチン、確率90%超で感染防ぐ暫定結果
公表されたのは試験結果のほんの一部だけでデータが限られている上に、政府の使用許可が降りていないので、喜ぶのはまだ早いのですが、コロナで失われた日常を取り返せる希望が出てきたと世の中は明るくなっているのを感じます。
11月9日の米国株は大きく株価が動いています。
個別株ではエクソンモービルが+12%、ハイアットホテルズは+19%、JPモルガン・チェース銀行は+13%と大きく株価を伸ばしました。
株価の1日の変動は対して重要ではありませんが、コロナの収束が見えてきたことで投資環境にも変化が出始めた気がしています。
この記事では、有望なワクチンの登場で、投資環境が今後どのように変わりそうなのかを考えていきます。
この記事のポイント
- 有望なワクチンの登場で、景気回復の時期が早まるかも知れない。コロナで低迷していた航空・ホテル・銀行・石油業界などにはプラス材料。
- 景気刺激策の縮小時期も早まるかも知れない。コロナの流行と景気刺激策の恩恵を受けてきたハイテク銘柄などにはマイナス材料。
- 上記2点を踏まえると、株価が伸びる業界が変わる可能性がある。
- 今後もしも都市封鎖をしても株価の減少は一時的で小規模に終わる可能性が高い。株価下落してもいずれワクチンで克服できることを期待した投資家が、安くなった株の購入に動くと予想できるため。
- 景気刺激策の規模も縮小されれば、政策の恩恵を受けてきたゴールドは短期的に伸び悩む。
有望なワクチンの登場で、世の中の動きが早くなった
ファイザーのワクチンのニュースが与えた変化を一言で言うと、時計の針が進んだのだと思います。
景気回復の予想時期が早まった一方で、景気を下支えした政策や金融緩和の縮小の時期も早まる気がします。
いずれはコロナを克服すれば株価が上がると思われていた航空・ホテル・銀行・石油などの株は、ワクチンのニュースの後に急上昇をはじめました。また、今まで緩和策とコロナの流行で恩恵を受けて株高だったハイテク銘柄が、大きく売られています。
この傾向は1日で終わるのではなく、ワクチンの長い時間をかけて景気回復を確かめながら続いていくと思います。つまり、今後上昇する業界はITなどのハイテク業界からコロナでダメージを受けた業界に変わる気がしています。
もちろんファイザーのワクチンが政府に承認されないとわかれば、この日に上昇した航空株や銀行株などは再度大きく下落しますが、限定的なデータとは言えファイザーがこれだけ良い結果を出しているので、遅かれ早かれ何かしらのワクチンが承認される可能性は高いです。
売られるハイテク銘柄とゴールド
有望なワクチン候補が出てきて景気回復の期待が高まった一方で、景気刺激策が思っていたよりも早く縮小されたり、小規模になったりする可能性も出てきています。
この変化に悪い影響を受けそうなのは、今まで大規模な金融緩和で割高でも高値を維持できていたITなどのハイテク銘柄と、カネ余りの世の中のドル安懸念から買われていたゴールドです。
11月9日の市場ではハイテク銘柄もゴールドも大きく売られました。
投資家によって判断は割れるでしょうが、個人的には割高なハイテク銘柄は既に手放して良い時期が来ている気がします。また、私はゴールドを資産の15%保有していましたが、この保有比率もしばらく少し減らすかも知れません。
有望なワクチンがあれば、都市封鎖の株下落もチャンス
ファイザーのワクチンはまだ承認されないかも知れないですし、承認されたとしても、一般の人がワクチンを摂取できるまでにはまだ数ヶ月かかるかも知れません。
それまでに時間をかせぐために、アメリカでも再び都市封鎖が必要になる恐れもあります。今のアメリカは一日12万人から13万人が新規に感染しているほど、状況が悪化しています。
ただし、ワクチンが有効であるとわかれば、次に起こる都市封鎖では2020年3月ほどの株価下落にはならないかも知れません。株価下落してもいずれワクチンで克服できることを期待した投資家が、安くなった株の購入に動くと予想できるためです。
ワクチンさえ見通しが立てば、コロナによる株価下落はむしろ安く買えるチャンスです。この時に買いに走るのは、金融緩和の縮小で株価を維持できなくなるかも知れない割高なIT銘柄ではなく、ワクチンで業績回復が見込める株のほうが良さそうです。
今月も購入銘柄の候補を整理しました。
2020年も11月になったので、今月の購入銘柄候補を整理していきたいと思います。今月注目している株とその理由を書いていきます。直近の決算で業績が良かった銘柄と、コロナからの業績回復が見込める企業を選んでいます。