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ロシア侵攻後に起こった変化について

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もはや、どの投資家も新型コロナウイルスを話題にしなくなりましたが、コロナ前後でアメリカは「社会全体のクラウド化が加速したこと」「人手不足による賃金上昇(インフレ)が起こったこと」という2つ変化が起こりました。

これらの変化は、コロナが収束した後も長く続くという点で重要です。

では、同じように今回のロシアとウクライナの戦争前後で、短期で消える変化と長く続く変化は何になるでしょうか。

まだ結論を出すには早いですが、今見えているところだけでも考えていきたいと思います。

この記事のポイント

  • 欧米はロシア抜きの経済を作ろうと動き出した。
  • ロシアは経済的に大きなダメージを追い、中国に近づく。これにより、欧米と中ロは対立を深める。
  • アメリカと敵対した場合にドル資産を凍結させられることを恐れる世界の国の資金は、ドルから離れていく。

市場の短期的な値動き


ロシアとウクライナの戦争が始まってから、まもなく2週間が経過しました。

まだ両国の戦いは続いており、米国株は戦争前に比べても下がったままの状況です。

しかし、少し不思議な動きをしているものもあります。通常ならリスクオフで買われる米10年国債です。

戦争が始まってしばらくは投資家の資金が安全資産の米国債に流れ込んど大きく買われて利回りが下がったのですが、今ではすっかり売られて戦争前の高い水準にまで利回りが戻ってきています。

どうして米国債だけいち早く戦争前の状態に戻ったのかは、まだ理解が追いついていません。

最初はリスク回避のために安全資産の米国債を買ったものの、インフレを警戒して国債を売って元の価格に戻ったのかも知れません。

もしくは、単純に投資家はウクライナ情勢の動向を見極めて、この短期的のうちに影響を織り込んだ可能性もあります。

というのも、一時期は急上昇した原油価格がかなり価格を戻しているところを見ても、この戦争の短期的な影響については早々に投資家たちは価格に織り込んだかも知れないと言えるからです。

長期的に言えば脱炭素社会の流れで原油生産量が抑えられて原油価格は上昇傾向すると思いますが、今回の件で一時的に上昇した価格の分はしだいに落ちていくと思っています。

この戦争による長期的な変化


短期的な要因は少しずつその影響が緩和されてきたとは言え、冒頭でもお話したように重要なのは長期的な影響をとらえることです。

この戦争による長期的な変化は今のところ、次のようなところにありそうです。

  • (1)欧米はロシア抜きで経済を回す。欧米企業はロシアから離れ、ロシアからの天然ガスなどの資源に頼らない経済を目指す。
  • (2)経済的に困窮するロシアは中国と結びつきを強めるが、欧米と中ロの対立が深まる。
  • (3)世界のドルの支配力が下がる。

(1)を実現しようと思うとロシアからの天然ガスの輸入に頼っているヨーロッパには痛手ですが、脱炭素社会の流れもすでにあるので、ロシアの化石燃料に頼らない経済を目指すことになるのだと思います。

投資家はこの流れをいち早く察知して、クリーンエネルギーETFが上昇しているのは面白いです。

こうしてロシアが世界の経済から仲間外れになれば、ロシアの経済的に低迷します。なので、ロシアは相談できる相手を探して、隣国の中国に接近するはずです。

ただ、こうなれば欧米は中国とも対立を深めます。この流れで、欧米の投資資金は中国企業の株から離れやすくなるので、ロシア株ほどではなくても中国株も下落が続くかも知れません。

最後に、(3)のドル安についてです。

今回のロシアの件で、アメリカと敵対すればドル資産を引き出せなくなるリスクがあることがわかったので、欧米寄りでない世界の国々はドルの資産を今よりも減らしたいと思い始めたかも知れません。

今はまだドルは世界の通貨基軸なので世界中の国がドルを持っていますが、「資産もいつ引き出せなくなるかも知れず」「インフレで価値が減っている」ドルを積極的に持ち続けたいと思う国は減るのだろうと思います。


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