2019年11月のアメリカ株は絶好調です。でも、足元を見るとそこまで景気は強いわけではなさそうです。
少くとも、アメリカの消費者が感じている景気は、2019年7月をピークに少しずつ弱まっていることがわかりました。
この記事では、アメリカのコンファレンスボードという有名な組織が発表した、アメリカの消費者の景気調査の内容を振り返ってみたいと思います。
この記事のポイント
- コンファレンスボードがアンケート調査した、消費者の景気実感指数(消費者信頼感指数)は4ヶ月連続の低下。
- 今後の景気見通しは緩やかに改善。一方、現状の景気実感は前月よりやや悪化している。
- まだ多くの消費者が景気の強さを実感しているものの、2019年7月をピークに景気は落ち込んでいる。
- 景気の実感は弱くなっているが、株価は上昇している。株価はいずれ景気に連動するので、今後は株の調整に注意。
コンファレンスボード米消費者信頼感指数とは
アメリカの経済団体や労働組合からなる調査機関でコンファレンスボードというものがあります。
コンファレンスボードは消費者に「あなたが今感じている景気はいいですか?悪いですか?」と毎月アンケートを取って、景気の強さを表す数字として集計して公表しています。
これがコンファレンスボード消費者信頼感指数です。
アメリカのGDPの7割は個人消費なので、「コンファレンスボード消費者信頼感指数が良いとGDPもきっと良い結果が出るはず」という解釈がされます。つまり、GDPの先行指標として、注目されています。
4ヶ月連続下落した米消費者信頼感指数
2019年11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数の結果ですが、あまり良くなかったです。
- 予想:127.0
- 結果:予想を下回る125.5(前月126.1よりも悪化)
11月は株価が好調だったので、事前予想は前月よりも景気が良くなるだろうと多くの人が考えていました。しかし、予想に反して前月よりも悪化しています。ちょっと意外な結果です。
内訳を見てみると、現在の景気の実感指数が173.5から166.9にやや減少。一方で、景気見通しは94.5から97.9へと緩やかに改善していました。現況指数の166.9はまだまだかなり良い結果なのですが、この減少が全体の結果に響いたようです。
こちらは近年の消費者信頼感指数の変化を表したグラフですが、直近は4ヶ月連続で低下してしまっています。
アメリカ景気と株価が反対に動き始めている
上のグラフを見ると、消費者が景気が良いと感じたピークは2019年7月だったようです。
これは少し気になる結果です。2019年株価は上がっているのに、消費者が感じている景気は下がっていて逆方向に動いています。
消費者信頼感指数とアメリカ株S&P500の動きが比較できるように1つのグラフにして見ましたが、直近の数ヶ月は景気は下がっているのに株価が上がっていることが見て取れます。
株価が上がっている要因はFRB
景気の実感が下がっているのに株価が上がるのは、おそらくアメリカ中央銀行FRBの景気刺激策の効果が出ているせいです。
2019年後半からFRBは政策金利の引下げと短期国債の大量購入を実施して、株価を強く支えています。この仕組は以下の記事で解説しました。今の相場の理解を理解するために、ぜひこちらも読んでみてください。
2019年にFRBが株価を引き上げた仕組み【わかりやすく解説します】
2019年後半はアメリカ株が絶好調です。米中合意で悪いニュースが流れても、ちょっとやそっとでは反応しないほど強い上昇を続けています。何が相場を動かしているのでしょうか。中央銀行のFRBの金融政策が株価を押し上げているように見えます。
景気と株価の乖離が続く場合は、株価の調整に注意
FRBの打ち手で見事に株価は上がりました。株価上昇で消費者が消費を増やしていくかが今度のポイントになると思います。
これからの展開としては、次の大きく分けて、次の2パターンです。
- 【FRBが望む展開】株価の上昇を受けて、人々が消費を増やし、景気が力強さを取り戻す。
- 株価だけ上がったまま、人々の消費も景況感も上昇せず、しばらくして現状の景気に合わせるように株価が下落(調整)する。
景況感指数と株価はいつもキレイに連動するわけではありません。でも、もしも景気の力強さが回復せずに株価が上昇を続けた場合には、いずれ景気あわせて株価は下落する可能性が高いです。
なので、FRBの狙い通り株価に釣られて消費が増えるのか、それとも景気拡大スピードが緩やかな減少を続けるのかが注目です。