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投資を続けて金銭感覚や現金の価値が変わった話

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投資を続けていくと金銭感覚が変わったり、現金の価値が変わったり、不思議な感覚になることがあります。

この記事では、投資をしてから私の現金の価値観がどのように変わっていったかを書いていきます。

(※この手の記事は2020年8月にも書いていますが、2021年8月で内容を加筆・修正しています。過去の記事を既に読んでいる方にとっては重複が多いですが、ご了承ください。)

この記事のポイント

  • 投資を始めた頃には、手元の現金(預金)の額こそが価値あるものだった。投資は現金を増やす手段だった。
  • 安定してリターンを得るために長期投資に移行して運用資金が大きくなると、生活資金と運用資産で文字通り「桁違い」な金銭感覚のズレが生まれた。
  • 運用がうまくいって現金のほとんどを投資するようになると、現金は買い物の支払いや・納税のためだけの決済手段になった。
  • 株が大きく下落する局面を経験してから、現金はリターンがゼロで確定している資産だと思うようになった。それ以上資産が減らないことに価値があり、株の下落局面で資産を守る働きをする。

はじめは現金が全てだった


投資を始めたときには、手元の現金や預金の額が多くなることが何よりも重要だと思っていました。

そもそも投資は「売買で現金の金額増やすこと」だと思っていたので、この頃は数週間から数ヶ月の比較的短い期間でトレードをするような投資をしていました。

当時は真剣にやっていましたが「勢いよく上がっているものを買って、上昇するのを祈る」か「下がっているものを買って、価格が戻るのを祈る」程度のことをやっていた気がします。

また、この時代は現金にこそ価値があると思っていたので、配当金や分配金は何よりも価値あるものに見えていました。

転機は長期投資でリターンを積み上げてから

しかし、さまざまな投資を経験して「長期投資が自分にあっている」と気づくと、現金の価値が少しずつ揺らいできました。

投資期間を長くした場合には株は預金の利子よりも高いリターンが得られる確率が高くなるので、自分の大事な資産を現金で長い期間を寝かせるよりもできるだけ株に投資したほうが効率的です。

そのため、自分の投資スタイルが長期投資に傾くほど、「現金ではもったいないので株を買おう」という発想になりました。

この頃には既に「現金がすべて」ではなく、「現金と株をあわせた資産こそがすべて」という考えに変わっていきました。

生活資金と運用資産で金銭感覚がズレ始める

長期投資がうまくいきはじめると、生活資金よりも運用資産のほうが規模が大きくなります。そうなると、生活資金と運用資産で金銭感覚がズレはじめてきました。

このズレを実感したのは、株資産が500万円を超えたあたりだったと思います。

500万を運用している場合に1か月で2%株価が動くと資産は10万円上下することになりますが、生活費では急に1万円の出費がかさむと気にしていたのに、運用資産が10万円減っても何も思わなくなりました。

生活資金と運用資金で金銭感覚がズレたわけ

文字通り、生活資金と運用資産で金銭感覚が「桁違い」になったわけですが、これは生活資金は毎月の「金額(円)」を気にしている一方で、運用資金は「株価の変動率(%)」を気にしているせいだと思います。

運用資産はとくに何も出来事がない月でも毎月数%の変動にさらされていて、投資をしていればこの程度の株価の変動は珍しくないので次第に慣れます。

最近では最大で1ヶ月で1000万円の含み益が消えたこともありましたが、普段から金額(円)ではなく年率リターン(%)を気にしているせいなのか、長年の投資で少しずつ金銭感覚を大きくできたためか、特に何も動揺することなく投資を継続できています。

現金は単なる決済手段

そこそこ運用で成果を挙げられるようになって預金の多くを投資資金にするようになると、手元には数ヶ月生活できるだけの金額しか手元に残らなくなりました。

自分の中では自然な変化だったのですが、貯金はしないでほとんど投資していることを親しい友人に話すと驚かれたので、たぶん世の中の普通の日本人とは感覚が違うのだと思います。

そして、この頃から現金はただの決済手段になったと思います。

現金はクレジットカードの支払いや納税、お店での割り勘のためだけに使うものに変わりました。こうなると現金は、もはや自分に課せられた支払い義務をまっとうするための手段です。

配当金にも特別な価値を感じなくなる

思えば、このときには既に配当金・分配金に特別な価値を感じなくなりました。

株で重要なのは配当金ではなく、投資先の企業が将来に渡ってどれだけ多くの利益(やフリーキャッシュフロー)を儲けられるかだとわかったため、配当金はそれほど気にしなくなりました。

「どうしても現金が必要なら、資産のほんの一部を切り崩せばいいのだろう」と思うようになったことも大きいです。

参考記事:

現金は確定リターンゼロの資産

投資がある程度わかるようになって、2020年3月のパンデミックで大きな株価下落を経験した時、現金には「確定でリターンゼロを得られる資産」という側面があることに気づきました。

この2020年3月は一時的ですが、株も国債も金やコモディティなどのあらゆる資産が売られる危機のような動きが見られました。

この時、世界中の投資家にとって最も良い投資成績をあげていた資産はリターンがゼロの現金でした。あらゆる資産がこれからもっと下落すると多くの投資家が思っている時には、リターンゼロですら価値があることを知りました。

現金にはそれ以上資産が減らないことに価値があり、株の下落局面で資産を守る働きをします。

この現金の価値観の変化があってから、株が割安か割高かを今まで以上に意識するようにもなったと思います。

株価が全体的にかなり割高なら下落して調整する可能性もあるので、無理して株を保有する必要もありません。リターンゼロの現金のほうがリターンほうがマシの場合もあるので、株価下落を期待してほんの一部を現金で持っておくほうが良いかも知れないからです。

長年のデータを振り返ると、S&P500の価格は今後12ヶ月の企業利益の15倍の価格(予想PERは15倍)がついています。

2021年8月のアメリカは予想PER約21倍で歴史的には高いですが、ジェレミー・シーゲル教授によれば、背景にある歴史的な低金利のおかげで、割高ではない適正な水準と言えるそうです。

問題は「歴史的な低金利」があれば適正な株価だという点で、今後数年間でもしも金利(正確には10年米国債の実質利回り)が急上昇した場合には、リターンゼロの現金で資産を守る必要が出てくるかもしれません。


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