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倒産リスクを避けてコロナで低迷してる株を買うための方法。

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「コロナで低迷している株を買いたいけれど、倒産しないか心配」という人は多いと思います。

企業が倒産しそうかを調べるための考え方は、個人の場合と基本的に同じです。

「いま手元に現金がいくらあるか」、「毎月どれだけのスピードで現金が減っているか」がわかれば、「あと何ヶ月で現金がなくなるか」が見えてきます。現金がなくなるまでに業績が回復できるか、新しい借金ができるなら倒産はしません。

この記事では、業界全体が大幅に業績が悪化して借金でやりくりしている航空業界とホテル業界を例に、「このままだと、各企業の現金があと何ヶ月でなくなるか」を2020年7-9月決算のデータを使って調べていきます。

その結果から、どの企業なら安心して投資できそうかを確認していきます。

この記事のポイント

  • 毎月の現金が減るスピードはキャッシュバーン(またはバーンレート)という数字で調べることができる。さらに、決算書で手元の現金をキャッシュバーンで割れば、あと何ヶ月で現金がなくなるかを知ることができる。
  • 2020年7-9月決算のデータを使って、航空業界とホテル業界の有名企業が、あと何ヶ月で手元の現金がなくなるかを調べた。
  • デルタ航空は3年以上の現金を確保して倒産の危機は回避したように見えて、まだ株価があまり回復していない。デルタ航空は投資のチャンスがあるかも知れない。

「このままだと、あと何ヶ月で現金がなくなるか」の調べ方


企業の資金繰りだとどうも難しく考えてしまうので、まずは個人の資金繰りを例に考えていきます。

例えば、手元に現金が100万円をもっていて、毎月赤字で現金が20万円ずつ減っている人がいたとします。

結構まずい状態の人ですね。このままだと100万円÷毎月20万円=5ヶ月後には現金がなくなってしまいます。すると、5ヶ月以内にこの人は、収入を増やすか、コストを減らすか、借金をして新たな現金を確保するかの行動に出なければいけません。

企業の場合も同じ方法で、どれだけ資金繰りが危ないかを調べることができます。

「手元の現金(流動性資産)」を「現金が毎月減るスピード(キャッシュバーン)」で割れば、「このままだと何ヶ月後に現金がなくなるか」を調べることができます。

企業の資金繰りの調べ方手順

  • 【STEP1】:流動性資産(手元の現金や現金化できる資産)がどれだけあるかを決算書から調べる。
  • 【STEP2】:キャッシュバーン(どれだけのスピードで現金が減っているか)を決算報告などで調べる。
  • 【STEP3】:流動性資産をキャッシュバーンで割り算すれば、あと何ヶ月現金が持つかわかる。

流動性資産(Current Asset)は決算書を見ればすぐにわかるのですが、キャッシュバーンは決算発表でしか話されていないことも多いです。

でも最近のGoogle検索は優秀なので、例えばデルタ航空のキャッシュバーンを知りたければ「Delta Air Lines cash burn」などと検索すれば、すぐに調べることができます。

米ホテル業界の資金繰り


アメリカの大手ホテル企業の資金繰りを調べた結果がこちらです。

企業名 流動性資産(A) Cash Burn(B) 現金枯渇まで(A÷B)
マリオット $1600M ほぼ0 ※現金減らない
ハイアット $2100M $60M/月 約35ヶ月
ヒルトン $3400M $100M/月 約34ヶ月

大手ホテル3社は、実はかなり資金繰りが安定しています。

マリオットは既に現金が減っていないので全く問題がありません。また、ハイアットもヒルトンも3年弱は持ちこたえられる分の現金があります。

3年あればコロナの収束が見えて、業績の回復も見込めるので、既にこの3社は資金繰りの問題をほぼ解決していると言えそうです。

この記事を書いている11月15日時点で、株価は過去1年間の最高値からどれだけ下がっているかを調べると、マリオットとハイアットはまだ20%以上下落した株価をつけていることがわかります。

企業名 52週最高値からの株価下落
マリオット -22%
ハイアット -27%
ヒルトン -9%

投資をするなら、マリオットとハイアットの2社で良さそうです。実際に私もこの2社の株に投資しています。

航空業界業界の資金繰り


同じようにして、航空業界の大手4社の資金繰りも調べてみました。

企業名 流動性資産(A) Cash Burn(B) 現金枯渇まで(A÷B)
デルタ航空 $22000M $720M/月 約30ヶ月
サウスウエスト航空 $15000M $510M/月 約29ヶ月
ユナイテッド航空 $14000M $750M/月 約18ヶ月
アメリカン航空 $8300M $1300M/月 約6ヶ月

デルタ航空とサウスウエスト航空は30ヶ月分の現金を確保できているので、3年以内にコロナが収束するなら、すでに現金の確保はできているように見えます。この2社は投資しても、比較的安全に見えます。

一方で、ユナイテッド航空とアメリカン航空は、まだ資金繰りにはやや不安があります。新たに社債を発行するか、コストを抑える努力が必要そうです。

ユナイテッド航空はS&Pの格付けでB+(ジャンク級)、アメリカン航空もB-(ジャンク級)なので、資金調達の面では不安材料があります。

>>参考記事:【無料でできる】米国企業のS&P格付けを調べる方法

以下の株価の最高値からの下落率を見ると、サウスウエスト航空がいち早く株価を回復させているようです。

企業名 52週最高値からの株価下落
デルタ航空 -42%
サウスウエスト航空 -25%
ユナイテッド航空 -58%
アメリカン航空 -60%

これから投資するのであれば、資金繰りで安定しているサウスウエスト航空かデルタ航空になると思います。特に、デルタ航空の株価は11月15日時点で最高値から42%下落している水準にまだいるので、デルタ航空は狙い目かもしれません。

さいごに


この記事では、キャッシュバーンと呼ばれる企業の現金の消費スピードに着目して、企業の安定性を見ていきました。

2020年11月時点のキャッシュバーンを見てみると、米大手ホテル企業は3年程度持ちこたえられる現金を確保していることから、資金繰りの問題はかなり解決しつつあると見えます。

株価の上昇余地を考慮すると、マリオットやハイアットならまだ投資できそうです。

一方、航空業界はまだ社債発行やコスト削減が必要な大手企業もありますが、サウスウエスト航空とデルタ航空は比較的順調に現金を確保できているようです。

もちろん、業績が悪化すればキャッシュバーンが悪化することも十分考えられるので、まだ安心はできませんが、現時点ではキャッシュバーンと株価上昇の余地を考えると、デルタ航空はまだ十分に投資できる余地があるかなと考えています。


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