昨晩、アメリカの住宅価格(ケース・シラー住宅価格指数)の22年1月のデータが発表されましたが、価格は再上昇していました。
2ヶ月前のデータなので今は状況が少し変わっているかも知れませんが、1月のデータを見る限りでは、今後アメリカの賃貸価格がじわじわ押し上げられることになりそうです。
賃貸などの「住居費」が高止まりすれば、アメリカの消費者物価指数も上昇圧力を受けることになりそうです。
この記事のポイント
- S&Pケースシラー住宅価格指数は2022年1月も再加速していた。
- 住宅価格の伸びのピークから1年数カ月遅れて、消費者物価に計算される「住居費」もピークをつける傾向がある。
- 2021年後半から住宅価格は落ち着いていたが、再びピークをつけるとなると2023年半ばまで物価上昇圧力が続く恐れがある。
再加速するアメリカの住宅価格
日本でも住宅価格は上昇しているようですが、アメリカは日本以上に家の価格が上がっているように見えます。
主要な20都市の住宅価格(S&Pケースシラー住宅価格指数)の2022年1月版のデータが発表されましたが、結果は予想以上に上昇していたようです。
- 前年比:+19.10%(予想+18.55%)
- 前回改定値:+18.58%
前年からの価格上昇が19%というのもかなり大きな数字ですが、警戒すべきは価格の上昇が再加速していることです。
次のグラフは、(前年比ではなく)毎月の住宅価格の伸びをグラフ化したものですが、2021年後半に下がっていた住宅価格の伸びは再び加速している様子がわかります。
住宅価格が上昇する意味
このブログを2021年から読んでいる人は、住宅価格の上昇が加速することで何がまずいのかはすぐにピンと来るかも知れません。
私は気にしているのは、アメリカの消費者物価の伸びの高止まりです。
前に調べたところ、ケースシラーの住宅価格指数の伸びがピークをつけてから、1年から1年数ヶ月後に家賃などの「住居費(Shelter)」の物価上昇率が遅れてピークをつけることがわかっています。
この「住居費(Shelter)」の伸びは、アメリカの消費者物価の全体の計算の3割に影響するほどインパクトを持っています。
なので、住宅価格が上がれば、家賃などを通じて1年数ヶ月もの時間をかけて、アメリカの消費者物価を押し上げるという構造になっています。
今までのデータでは2021年8月にS&P500ケースシラー住宅価格指数の伸び(前年比)がピークをつけていたので、その後1年かけて2022年末頃にアメリカの消費者物価はピークを打つのかなと予想していました。
しかし、もしも住宅価格が再加速して再び前年比のピークを更新するようなら、アメリカの消費者物価で計算される「住居費」の高止まりは2023年半ばまで続く恐れがあります。
2021年後半からアメリカの30年住宅ローンは上昇を続けているので(以下図)、どこかで住宅価格の伸びは鈍化するはずですが、今後住宅価格の伸びが新たなピークをつけるか少し注目です。