コンテンツへスキップ

アメリカでの住宅価格の下落の影響について考える

  • by

このブログではあまり取り上げて来なかったのですが、アメリカの住宅価格について書いていきたいと思います。

やはり住宅価格は勢いよく下がっているようです。

この記事では、住宅価格の低下から考えられることを書いていきます。

この記事のポイント

  • ケースシラー住宅価格指数の9月データでは、主要20都市全てで価格が下がっていることが確認された。
  • 消費者物価で3割の比重を占める「住居費」は、住宅価格に1年から1年半遅れて減速する。消費者物価が下がるのは早くても2023年後半以降。
  • もしも2023年前半に景気が悪化するなら、景気が悪いのに物価は高い状態(スタグフレーション)になるかも知れない。

アメリカ主要20都市全てで住宅価格は低下

アメリカの住宅の値動きを示す数字の一つに、ケースシラー住宅価格指数があります。このデータは発表がやや遅く、ようやく9月分の数字が公開されたので確認していきます。

  • 予想:前年比+10.75%
  • 結果:前年比+10.43%

結果は予想していたよりも数字は悪かったです。前年比では+10%伸びているように見えますが、前年+21%を記録したピークの4月から急減速しています。

以下のグラフは同じデータを前月比で見てみると、住宅価格が勢いよく下がっている様子がハッキリとわかります。

前月比マイナス1%(年率14%のペース)で住宅価格が低下していて、これはサブプライムローンの住宅バブルがはじけた後の2007年や2008年以来の下落率になっています。

また、今月はケースシラー住宅価格指数で調査している主要20都市全てて前月より住宅価格が下がっていたようです。

住宅価格の低下による影響

さて、前月に引き続きアメリカの住宅価格が下がっていることが確認できましたが、「住宅価格が下がるとアメリカにどんな変化が起こるの?」という点が気になります。

一般的は住宅価格が下がると「逆資産効果(資産の価値が下がって消費する気持ちが減ること)」、「消費者物価の低下」が起こることが知られています。つまり、これからもしばらくは消費弱まり、消費者物価は低下するだろうという予想が立ちます。

一点注意なのは住宅価格が低迷してから景気を押し下げるにはそれほど時間がかかりませんが、消費者物価を押し下げるにはかなりの時間がかかるということです。

以下のグラフを見ると、現時点の住宅価格の低下速度は2007年11月時点に相当します。2007年12月にはアメリカは景気後退になっていたので、もしも今回も同じ道をたどるならあと数ヶ月で(2023年前半で)景気後退になる可能性もあります。

しかし、一方で住宅価格が消費者物価を押し下げるにはかなりの時間がかかります。

次のグラフを見てみると住宅価格がピークをつけてから1年以上経過しないと、消費者物価の「住居費」の項目が低下しません。物価が本格的に下がりだすのは、早くてもケースシラーがピークをつけた1年後の2023年4月以降になりそうです。

このタイムラグが発生することで、もしも2023年前半に景気後退が来た場合にはインフレ率が高いのに景気は悪い(スタグフレーションと言われる)状態になるかも知れません。この状態では、景気が悪くても金融緩和が出来ないため、アメリカ経済が痛みに耐える我慢の時期が来ることになります。

長くなったので、最後にまとめます。

  • 住宅価格は全米で下がっている。その価格の下落ペースは2007年景気後退期直前に匹敵する。
  • 住宅価格は下がっているのでいずれ消費者物価も下がるが、タイムラグがある。もしも2023年前半に景気が悪化すればスタグフレーションになるかも知れない。

本ブログからのお願い

この記事は、読者が自由に記事の金額が決められるPay What You Want方式をとっています。

「役にたった」「面白かった」など、何かしら価値を感じた場合は、YUTA'S INVESTMENT TICKETをクリックして、価値に見合った金額をお支払い下さい。

価値がないと思った場合には、お支払いは不要です。同じ記事を読み返して、新しい気づきがあった場合には、1人で何回クリックしても問題ありません。