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過去最高の伸びを続けるアメリカ住宅価格

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この記事では、昨晩発表されたアメリカの住宅価格指数(S&Pケースシラー20都市住宅価格)を見ていきます。

2022年からの急激な住宅ローン金利の上昇の影響を受けて価格の伸びはそろそろ落ち着いても良い頃なのですが、それでも最新の4月版の住宅価格は前年比+21.2%で過去最高を記録しています。

この記事のポイント

  • S&Pケースシラー20都市住宅価格(4月)は、前年比+21.2%で過去最高の伸びを上昇した。
  • 住宅価格がピークをつけても、家賃は1年以上伸び続ける。これがアメリカの消費者物価を高止まりし続ける要因になる。
  • 今のスタグフレーションに向かっている。この状態では株の投資はまだできない。

過去最高の前年比を記録するアメリカの住宅


アメリカでは2022年に金利が急激に上がっていて、住宅ローンもその例外ではありません。

これだけ金利が上昇していれば、住宅需要も冷え込んで住宅価格も下がるはずです。

ただし、昨晩発表された4月のS&Pケースシラー20都市住宅価格には、まだ大きな価格の減少が見られませんでした。

さすがに価格が伸びるペースは鈍化していますが、それでも1年前と比べた住宅価格の伸びは過去最高の21.2%を記録しました。

高止まりが続きそうなアメリカの消費者物価


さて、住宅価格が伸び続けると困るのは、アメリカのインフレです。

最近では、毎月発表されるアメリカの消費者物価に投資家の注目が集まっていますが、この消費者物価で一番大きな割合を占めている項目は「住居費」です。

この消費者物価の「住居費」は、住宅価格がピークをつけてから1年以上かけてピークになるので、アメリカの消費者物価は上昇する「住居費」に支えられて、これからも高止まりが続くと思われます。

恐ろしいのは住宅価格の前年比の伸び(上図の青線)がまだピークをつけていないことです。それなら、消費者物価の「住居費」(上図赤線)のピークはまだ1年以上先ということになります。

消費は弱まるも、インフレは続く

アメリカでは既に個人消費の伸びは実質でかなり鈍化しているのに、消費物価はまだ高止まりが続きそうです。

明日6月30日にはアメリカの5月の個人消費が発表されますが、恐らくそんなに結果は良くないと思われます。

既に発表された小売売上高は物価の上昇の影響をを除くとマイナス成長だったので、個人消費も5月は期待できません。

5月のアメリカ小売売上、予想外の実質マイナス成長

また5月の個人消費が予想以上に悪いとすると、アメリカの第2四半期の消費とGDP成長もかなり厳しいことになります。既にスタグフレーションに入っている恐れも出てきます。

消費が伸びないのにインフレ退治のためにまだ政策金利を引き上げないといけない環境は、株価にとって悪材料です。この状況をいつ脱することができるのかわかりませんが、まだ株には強気になれないなと感じます。


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