アメリカは2020年には景気後退入りすると言われていたのに、2019年11月の株式市場は歴代最高値です。
「結局、今は株を買いに行っていいの?それとも不況に備え株の投資を控えるべきなの?」というのが、誰しも気になるところだと思います。はい、何を隠そう私は、このテーマに興味津々です。
気になったので、色々調べてみましたが、2019年11月の今の時点で面白い動きがわかりました。
- 自分のお金で運用していない人は株への投資に動いているが、自分のお金を運用しているタイプの投資家は景気後退に備えて、現金を増やしている傾向がある。
- 具体的には、生命保険・年金などで人から集めたお金を運用する機関投資家は株への投資に動いている。
- 一方で、自分のお金を運用する富裕層(損失が自分に直撃するタイプの投資家)は、株価下落の備えとして現金を増やしている。
積極的に投資を進める機関投資家
先日、こんなツイートをしました。米国の長期国債ETFから1週間で過去最大の資金流出があったというニュースです。
私も保有している20年超え米国債ETFですが、先週1週間で過去最大の資金流出があったようです。逆風が吹いているのを感じます。
世の中は完全にリスクオンに動いていますね。
米国債ファンドから1300億円超流出、見通し改善-次は利上げもありか https://t.co/J6a8cCUyhP @businessさんから
— yuta (@YutaInvestJP) November 12, 2019
安全資産であるはずの国債がここまで売られるということは、これから株が買われるからその波に乗ろうという動きのように見えます。
また、バンク・オブ・アメリカによれば、生命保険や年金などの機関投資家は、世界経済の先行きを楽観視し始めていて、現金どんどん減らして積極的に投資をしているようです。ついには、機関投資家の現金比率は6年ぶりの低水準になったと言います。
機関投資家、キャッシュ保有率が13年6月以来の低水準=BAML調査(ロイター)
守りに入る富裕層
ただ、あらゆる投資家が積極的に投資に動いているかというと、そうでもないようです。
富裕層向けの資産管理サービスを手掛けている大手銀行のUBSは、世界の富裕層はリスクオンで株を買うどころか、現金を蓄えて、次の株の大幅下落に備えているといいます。
富裕層投資家を対象に行った調査によると、3400人を超える回答者の過半数が来年末(2020年末)までに大幅な相場下落を予測しており、平均資産の25%相当を現在現金で保有している。米中貿易摩擦を最大の地政学的な懸念事項と受け止めているほか、来年の米大統領選挙も資産ポートフォリオへの重大な脅威とみている。
違いは自分の資産かどうか
これらのニュースを見てとてもおもしろいなと思うのは、機関投資家と富裕層のスタンスの明確な違いです。
そして、この違いがどこから来るのかなと、考えてみると「自分の資産を運用しているかどうか」で取れるリスクが違うのではないかと思っています。
- 機関投資家:生命保険や年金など、他人のお金を預かって運用する人たち。運用者が運用しているは自分の資産ではない。
- 富裕層:自分の大事な資産。資産が減れば、自分にダメージが直結。
言い方は悪いですが、資産が減っても痛みが少ない機関投資投資家は、積極的にリスクをとって2019年11月の株高の恩恵を受けようとしているように見えます。
一方で、自分の資産を運用してる富裕層達はかなり慎重です。過半数が2020年末までに大きな株価下落もありえると見ています。
機関投資家も富裕層も見ている世界は大きく違わないものの、それに対する行動が違う気がします。株式市場が好調だけど、米中の貿易戦争などの展開によっては大きく株価が下がることがあるという見方は同じです。
違うのは、機関投資家が今の好調な株に目を向けているのに対して、富裕層はまだリスクがあることに着目していることです。これは投資の立場の違いから、取れるリスクが両者で異なるからではと思っています。
私は富裕層ではないですが、株価下落が自分の資産に直接ダメージを受ける側の人間なので、この局面はリスクを取らない選択をしています。
これから投資する人に向けて
ここまでで投資する立場の違いが、リスクオフ・リスクオンの立場の違いになって現れる話をしました。
最後にこの記事を読んでいる人の中には、これから投資を始める人もいると思います。そういう人はどうしたらいいのだ、と思うかも知れませんが、私は少額だけ投資して経験を積むのが良いと思っています。
今の局面で投資できる金額を全額投入するのは、かなりリスキーだと思いますが、例えば4分の1程度投資するのはアリです。株が上がって、儲かれば儲けもの、もしも大幅に下がってたとしても全滅ではなく最大で4分の1ですむなら、いい経験になります。
私自身、2007年から投資を初めてサブプライムとリーマンショック何度も大ダメージを負った経験から、リスクを取らないで安全に資産を増やす大切さを身についたので、大損するなら投資初期がおすすめです。逆に、人生終盤の大損は取り返しがつきません。
これから投資をする人向けには、こちらの記事で投資の考え方の基本をまとめていますので、時間があるときに読んでみて下さい。