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4つの買いの材料が見えた人工肉ビヨンドミートの好決算【2019年3Q】

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日本では発売されていないので認知度が低いのですが、今世界では人工的に作られた肉がブームになっています。大豆なの植物由来成分だけで代替肉(人工肉)を作るビヨンドミートの2019年7-9月期の決算は、時代の波に乗っているなと感じました。株の買い材料が実に多いと思わせる好決算でした。

「ビヨンドミートってどんな会社なのか」、「2019年3Qのビヨンドミートの決算はどんな結果だったのか」とこの会社に興味を持っている人を対象にお話します。

この記事のポイントはこちらです。

  • ビヨンドミートとはどんな会社か
  • 買い材料1:前年比+250%(3.5倍)で拡大する売上
  • 買い材料2:売上総利益率(粗利率)16%改善して、上場後初の黒字化
  • 買い材料3:ブランド認知率が上がり、大手パートナー企業が急拡大
  • 買い材料4:人工肉の分野でR&Dに特に力を入れており、今後のさらなる高度な人工肉への期待も膨らむ。

ビヨンドミートとはどんな会社か

ビヨンドミートは、畜産で飼育した肉を一切使わず、大豆などの植物性タンパク質を使って、見た目や味(肉汁などの風味まで)を再現した人工肉を作る会社です。

そもそも、日本にいると人工肉について知る機会が少ないのですが、この分野は世界中が注目しているテーマです。ざっと概要を抑えておくとこんな感じになります。

  • ベジタリアンに強いだけでなく、話題性があり新しいモノ好きの人にも強い需要がある急成長市場
  • 人工肉には最先端の遺伝子工学も使われれ、最高にクールな研究テーマとして世界の技術者の注目を集める。(最先端の研究では細胞から食肉を作る)
  • 畜産肉よりも圧倒的に土地・水・エネルギーの消費が少なく、温室効果ガス排出が少ないため、将来の世界の人口増加による食肉不足問題、地球温暖化問題に効果がある
畜産に比べて、土地・水・エネルギー消費が少なく、温室効果ガス排出も減って地球に優しい人工肉

詳しくは[2019年版] 最先端のクールなビジネス、人工肉市場の最新動向で、人工肉について詳しく解説しています。

ビヨンドミート2019年決算

遺伝子組み換え技術を使った植物由来の成分で作る代替肉を製造するビヨンドミートの売上成長が加速しています。

  • 一株利益: 3セント予想を上回る6セント。(前期-24セントから黒字化達成)
  • 売上: 8220万ドルの予想を上回る9200万ドル(前年比250%増加)
単位100万ドル 2019 3Q 2018 3Q 前期比
純収益 92 26.3 +250%
売上総利益(粗利) 32.8 5 +550%
売上総利益率 35.6% 19.2% +16.4%
営業利益 3.6 -8
純利益 4.1 -9.3

なんと言っても目が引くのは前年比売上250%だと思います。この売上成長も含めて、2019年3年のビヨンドミートでは、買い材料と思われる要因が幾つか見られたので、順番に追っていきたいと思います。

決算で見えたビヨンドミートの4つの買い材料

買い材料1:前年比+250%(3.5倍)で拡大する売上

今のビヨンドミートの魅力はなんと言っても、売上の急拡大です。人工肉市場全体で、需要はあるのに生産が追いついていない状況があり、生産を拡大すればするほど売れる状況です。

以下は四半期ごとのビヨンドミートの売上ですが、きれいな弧を描いて上昇しています。

普通の企業なら「年度ごと」で上のような売上成長のグラフができたら高成長企業なのですが、凄まじいのは「四半期ごと」のグラフでも上のようなグラフがかけてしまう高い成長率です。

次のグラフは、直近の前年比の売上成長率をまとめたものですが+200%(前年比3倍以上)を超えています。

買い材料2:売上総利益率(粗利率)16%改善して、上場後初の黒字化

ビヨンドミートの2019年3Q決算の注目ポイントは黒字化だと思います。この理由を数字から探ってみると、粗利率が16%も改善していることがわかります。

2019 3Q 2018 3Q 前期比
売上総利益率(粗利率) 35.6% 19.2% +16.4%

決算報告によれば、生産量があがって1品あたりの原価が下がったため、大幅に利幅が改善したとのことです。生産量が損益分岐点を超えたのはいいニュースです。

買い材料3:大手パートナー企業が急拡大

売上上昇の要因ですが、強力な大手レストランやスーパーマーケットと次々と取引が発生している点が大きいです。

スーパーではウォルマートやターゲット、レストランではフライデーズやカールスジュニアなどの有名企業で、ビヨンドミートの肉を提供しています。

ビヨンドミートの主な取引先

そして、直近で発表があったビヨンドミートと取引を開始した企業ですが、マクドナルド、ダンキンドーナッツ、ケンタッキー、サブウェイ、デニーズ、ブルーエプロンと誰もが知る企業が並びます。

直近になって発表された取引先は大手が並ぶ

こうした大企業が次々に取引したがっている状況を見ると、ビヨンドミートにはかなり追い風が吹いていると言えます。

関連記事:マクドナルド、カナダで代替肉バーガーP.L.Tを12週間販売へ

関連記事:ケンタッキー、ビヨンドミートの代替肉チキンナゲットを試験販売。

買い材料4:R&Dに力を入れており、今後のさらなる高度な人工肉への期待も膨らむ

直近のビヨンドミートは研究開発費にかなりの力を入れています。以下は他社との比較ですが、ビヨンドミートは売上に対する研究開発費が占める割合が大変大きいです。

他社に比べて売上が小さいからこそ、研究開発費の比率が高くなっているのも確かですが、この分野では人工肉の研究が日進月歩で進んでいるので、売上が小さいときから研究開発を行うことが、企業の永続のために必須になります。

実はビヨンドミートが提供している植物性の人工肉のハンバーガー肉などは、人工肉の分野でもかなり簡単に作れるタイプの肉です。もっと難しいのは、「植物のタンパク質を使わないで、牛・豚・鶏の細胞からひき肉を作る人工肉」、さらには「細胞から、ひき肉以外の赤身と脂身がわかれた肉を作る人工肉」、「細胞から最高級霜降り肉を作る人工肉」など、まだまだ高い山が続きます。

ビヨンドミートは企業規模の小さいときから、研究開発費をしっかり積んでいる点には期待が持てます。人工肉は食品業界ではなく、生命工学を駆使するテクノロジー企業だからです。

好材料も株購入のタイミングはまだ

ただ、決算の好材料にも関わらず、直近の株価は優れません。第2四半期決算に株の新規発行をしたこと、さらに第3四半期決算後には株式上場前から持っていた株主によるビヨンドミート株の売却が解禁(ロックアップ期間が終了)されたことで、株価が下がりやすい環境が続いています。

ビヨンドミートは急激に株価を下げた銘柄なので、12月まではアメリカの投資家の確定申告のための売りが入りやすいです。試しに買ってみたい人も、2019年内は様子見でもいいかも知れません。

まだまだ人工肉のブームは始まったばかりなので、じっくり構えるくらいが良い気がしています。


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