今朝のニュースを見ていると中国と株価下落の話が多いですが、明日9月22日(日本時間で23日未明)には少し重要なイベントが控えているので、軽く予習をしておきたいと思います。
予定されているのはアメリカの金融政策を決めるFOMCという会議です。
コロナの不況を乗り越えるためにアメリカの中央銀行FRBは国債・住宅ローン債権を毎月買っていましたが、今回のFOMCではその金額を減らす計画(テーパリング)が話し合われます。
また、政策金利の引き上げの見通しも発表されるため、長期投資家ならFOMC後に内容を一通りみておいて損はないと思います。
9月22日FOMCの注目ポイント
- テーパリングは議論されても何も発表はないと予想されているが、声明文やFOMC後のパウエル議長の発言でどんな情報が出てくるかは注目。
- 政策金利の引き上げ(利上げ)見通しが前回に比べて前倒しされているかどうかは注目。利上げ予想の前倒しは、株の投資にはマイナス。
テーパリングは議論をしても発表はない見通し
新型コロナで受けた経済的なダメージを乗り越えるために、アメリカは金融緩和を行って米国株は株高が続いてきました。
しかし、景気もだいぶ回復してきたので、今はその金融緩和をいつどのように終わらせるかを議論する段階に来ています。
(金融政策が変われば、時間をかけて少しずつ投資家には逆風が吹くことになります。)
既に8月にFRBのパウエル議長の講演で年内にテーパリングをするという話があったので、その直後の9月のFOMCでも当然「いつから」「どのようなペースで」テーパリングをすすめるかが話し合われます。
2021年内のテーパリングの見通しを初めて示したパウエル議長
8月27日のシンポジウム(米国のジャクソンホールで行われた会議)では、アメリカの中央銀行FRBのトップのパウエル議長が講演を行いました。既に発言内容を知っている人も多いと思いますが、この講演ではFRBが毎月買っている債権の規模縮小(テーパリング)の件についてパウエル議長が発言したので、この記事で触れていきます。
ただ、9月のFOMCではテーパリングの議論はされても、テーパリングに関する発表は何もないと見られています。
FOMCのメンバーはテーパリングを始める前に雇用がちゃんと伸びているかを確認したがっていますが、最新のアメリカの雇用データを見ると、新型コロナウイルの感染再拡大の悪影響を受けて予想よりもかなり悪かったためです。
>>予想以上に悪かった21年8月の雇用統計は投資家にはプラスか
なので、「雇用が確かに改善していることを見届けてから」と言いつつ、次回11月か12月のFOMCでテーパリングの開始を発表をすると思われます。
それでも声明文やFOMC後のパウエル議長の話で、何かしらテーパリングの議論について情報が与えられるかは、注意しておきたいと思います。
経済成長や利上げ予想について
もう一つ、今回のFOMCで注目されているポイントは政策金利引き上げ(利上げ)見通しの発表です。
FOMCに参加して金融政策を話し合っているメンバーに対して、いつからどの程度に政策金利を引き上げることになりそうかを調査した結果が数ヶ月に1回発表されるのですが、今回FOMC後にもその発表が予定されています。
政策金利が引き上げられると、テーパリング以上に景気を冷やすことになるので、これから数年はこの見通しに気をつけて見ておいたほうが良いかもしれません。
おそらく何も発表されないと思われれるテーパリングよりも、私としては政策金利見通しのほうが重要になると思っています。
たとえば、前回6月に政策金利見通しが発表されたときには、2022年に利上げをしたほうが良いと考えているメンバーが着実に増えていて、投資家の間ではちょっとした警戒感が走りました。
上の図で見るように、3月時点でのFOMCメンバーの利上げ見通しは2022年は利上げしない派は4/18と少数でしたが、6月時点では7/18で40%近くまで増えて、2022年の利上げが現実味を帯び始めました。
今回の発表では、FOMCメンバーの中で2022年の利上げ派がさらに増えているかどうかを確認したいと思います。
FOMCが終わった直後にブルームバーグやロイターなどのニュースをみれば、FOMCメンバーの利上げについて書いてあることが多いですが、自分の目でいち早く確認したいという人は、FOMC公式の以下のページで確認できますので、覗いてみてください。