先週はアメリカでの9月の雇用統計で大きく株価が下落しましたが、今週は13日木曜日には消費者物価の発表が控えています。
今のところ、9月の物価の伸びはそれほど大きくないとの見方が優勢です。
この記事では、13日の発表で予想されている内容と、まだあまり多くの投資家も注目していない10月のインフレについても少し触れておこうと思います。
この記事のポイント
- 13日に9月のアメリカ消費者物価が発表される。今回はシンプルに物価上昇率が高ければ株は売られ、低ければ買われる展開になるとはず。
- 一方で、かなり気が早いが10月はアメリカで消費者物価が上がるかも知れない。原因は原油高からくるガソリン価格上昇と、コア物価上昇率の高止まり。
- 10月の以降の物価の行方を見るためには、これからしばらく原油など商品先物の価格上昇が続くかどうかもチェックすると良いかも知れない。
消費者物価の予想値と背景にある動き
13日に9月のアメリカの消費者物価が発表されます。
今回エコノミストが予想している数字を確認してみると、それほど高い値ではありません。(その分、予想を超えた物価上昇が起こりやすいと言えるかも知れませんが)
- 前月比:予想+0.2%(前回+0.1%)
- コア前月比:予想+0.5%(前回+0.6%)
少し前のアメリカの物価上昇率を知っている人なら、「コア指数はまだ高い伸びが続いているけど、(コアではないほうの)物価の伸びはだいぶ緩やかになった」と感じると思います。
以下では(コアではない)消費者物価の前月比の推移をグラフにしましたが、2022年6月をピークに物価の伸びは鈍化傾向にあります。
この鈍化傾向を演出しているのは、原油価格の下落です。6月から原油価格は低下しています。
コア物価の伸びは住居費によって高止まり
一方で、コア物価は恐らく2023年半ばまでは高い上昇率が続きます。ずっと前から言っていることですが、物価に一番大きな影響力を持つ住居費の伸びが来年まで続くからです。
>>アメリカの消費者物価はピークが近かったとしても、2022年内は高水準を保つ(22年4月14日記事)。
住宅価格の伸びは既に止まっていますが、住宅価格の伸びが止まってから家賃が上昇するまでにはタイミラグがあるので1年以上は消費者物価の「住居費」の項目は上がり続けます。
なので、基本的にはエネルギー価格の低下が続くなら(コアではない)消費者物価は伸びが鈍化、コア消費者物価の伸びは2023年前半まで高い水準が続くと思っています。
10月に上昇が見られる石油
少し気が早いのですが、クリーブランド連銀のサイトでは10月のアメリカの消費者物価の予想(モデル)も見れるので確認しておきます。
インフレの伸びが鈍化する9月とは一転して、かなり高い伸びが予想されているのは気になります。前年比+0.72%というのは、年率9%にもなるペースです。
この上昇がどこから来ているかというと、原油価格の上昇を背景にしたガソリン価格などの価格上昇です。
私は既にアメリカのインフレは2022年夏でピークをつけたと思っているのですが、10月の物価の加速の原因になっている原油価格の伸びが一時的なもので終わりそうかどうかは、少し気にかけておこうと思っています。
可能性が低いですが、3月から6月のように原油価格がスルスルと上昇してしまうと、また雲行きが怪しくなるかもしれません。