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9月消費者物価の発表を前に

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雇用統計の発表を終えて、市場の次の注目は消費者物価に移っています。

ですが、インフレについてはほとんど心配いらないと思われます。以下ではアメリカの基調的なインフレを見ていきますが、インフレの低下トレンドは今も続いています。

9月末まで続いた原油高のせいで10月12日に発表される消費者物価がやや高い値になるかもしれませんが、もしもエネルギー価格だけが原因なら原油は10月からすでに大きく下がっているので9月消費者物価が高かったからと言って心配する必要はありません。

この記事のポイント

  • アメリカのインフレは鈍化傾向にある。NY連銀のモデルでもアメリカのインフレ基調は低下が続いていることを示している。
  • 9月はエネルギー価格上昇で物価が上昇したかもしれないが、10月以降は原油価格も下落しているので物価も再び低下するはず。
  • そろそろ物価が2%を下回る低インフレへの警戒も必要化もしれない。引き締め続けると景気をオーバーキルすることになる。

アメリカのインフレは鈍化傾向にある

まず、確認しておきたいのは最近のインフレの傾向です。

先週10月3日にはニューヨーク連銀からインフレ基調のデータが発表されましたが、それを見てもちゃんとインフレの鈍化傾向が続いてることがわかります。

上図の青線で書かれているインフレ基調を見てみると、最新の8月のデータで前年比2.5%まで低下しています。

このインフレ基調は過去のPCEデフレータを元にして、短期的に変動しやすい物価の影響を取り除いて計算されているようです。

参照している値がPCEデフレータなので消費者物価の場合に比べて低めに出ているかもしれませんが、ベースとなるインフレ率が2.5%まで落ちているなら、アメリカのインフレの問題はほとんど解決に向かっていると言っていいと思われます。

9月消費者物価のエコノミスト予想

ただ、今週10月12日に発表が予想されている消費者物価はエコノミストの予想が低いことが原因で予想を上回ってしまうかもしれません。

  • 前月比:予想+0.4%(前回+0.6%)

9月は8月よりも原油価格が上がっていたのに(下図)、消費者物価が前回よりも伸びが低くなるというのは個人的にはひっかかるものがあります。

なので、9月まではエネルギー価格の上昇を受けて消費者物価が予想を上回ってしまう恐れがあるだろうと思っています。

「9月まで」と言ったのは、既に原油価格は大きく下落しているので10月の消費者物価は下がると予想されるからです。だから、9月は予想を上回ってしまっても、エネルギー価格上昇が主な原因なら大きな心配はないと思っています。

コア指数について

少し長めの脱線になるのですが、コア指数のエコノミスト予想についても書いておきたいと思います。

エネルギー価格を除いたコア指数は前回よりも上昇すると予想されています。

  • コア前月比:予想+0.4%(前回+0.3%)

コア指数のほうは結果が予想を下回ってくる可能性があると思っています。

最近の平均時給の伸びは下がっているので(下図)、サービス業などは価格の伸びが鈍化しやすい時期になっているはずです。

また、コア消費者物価を押し上げていた住居費の伸びも最近は大きく鈍化しているので、この調子が続くならコア指数は下がるのではないかなと期待しています。

低インフレへの懸念について

ここまででインフレ基調は下がってきていること、そして9月末までのエネルギー価格の上昇を受けて9月の消費者物価は高い伸びになってしまうかもしれませんが、原油価格は10月に入ってから下がり続けているので10月の消費者物価は心配ないことを書きました。

10月に始まった原油価格の下落がこれからしばらく続くなら、むしろ2%のインフレを下回って低インフレになる恐れもあるのではないかと思っています。

下のグラフは住居費を除いた消費者物価(物価の変動が極端に遅い住居費を除いて、今の物価の動きを捉えやすくしたもの)です。

今年の半ばから原油高を背景にグラフは上昇をして1.9%まで回復しましたが、おそらく10月の原油価格下落を受けて10月以降はこのグラフも下に下がると思われます。

そうなると、(1)住居費を除く消費者物価はおそらく2%を下回る値になると思われ、先程見たように(2)住居費単体の伸びは急速に鈍化しているという2つの現象が同時に起こることになります。

この2つを合わせると、これからアメリカのインフレ率は2%を下回る水準に向かって下がっていくことになるはずです。

FRBはまだ決して認めないと思いますが、金融引き締めが終わって利下げが始まる時期は確実に近づいているように見えます。


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