9月になっても米国株は特に目立った動きもなく、毎日を淡々と消化している印象があります。
こういうときには、新しい投資先を調べたり、まだ表面化していない問題に目を向けるのが良いのかなと思っています。
この記事では、まだそれほど問題になっていないものの、この数ヶ月私が気になっていることを取り上げていきます。
今日話をするのは、アメリカの賃金上昇です。
このブログでは何度も言っていますが、どうもこの数ヶ月は人手不足で賃金が上昇しているように見えます。この動きが続くと継続的なインフレを招くので注意が必要です。
FRBが賃金上昇について警戒を強めれば、2022年は想定されている年末の政策金利引き上げよりも早い時期に起こり、米国株への悪影響も出るかも知れません。
この問題は気にするにはまだ早いかもしれませんが、一応アンテナを張って様子を見ておきたいと思っています。
この記事のポイント
- アメリカでは人手不足で、賃金上昇の傾向が続いている。
- 賃金上昇はまだそれほど問題になっていないが、2022年にFRBが警戒をし始めると政策金利引き上げ時期やペースは予想よりも早まるかもしれない。
- 政策金利の引き上げはペースが早まるのは景気を冷やしかねないので、米国株にとって悪影響。ただし、現段階ではまだ心配するほどことではない。
人手不足が続き賃金情緒が見られ始めるアメリカ
2021年9月の時点でアメリカは大きな人手不足に悩まされています。
>>米求人件数またも過去最高、1090万件-人材不足の長期化足かせに(ブルームバーグ)
少し前のデータになってしまうのですが、2021年7月のアメリカの求人件数(9月8日発表)は過去最高を記録して1090万件にもなります。
求人数にあわせて採用数も伸びていれば問題はないのですが、以下の求人数から採用数を引いたグラフも勢いよく右肩上がりに上昇を続けています。
人手が足りないのに採用ができないので、必然的に平均給与は上昇傾向にあります。
以下は2021年1月からのアメリカの平均時給の伸び(年率)をグラフ化したものですが、4月以降は毎月のように年率5%を超える伸びを見せています。
平均時給が上がっていて、人々もより良い給料を求めて転職する動きがあり、将来的に賃金上昇がインフレ圧力となるかもしれません。
平均時給が上がることの懸念点
労働者の目線では「平均時給(給与)が上がるなら、いいことじゃないか」と思うのですが、投資家目線では少し困ったことになりかねません。
賃金は一度上昇する流れができてしまうと持続的にインフレが景気が過熱するので、1970年代にインフレの対処に苦労したアメリカの中央銀行FRBは持続的な賃金上昇をかなり嫌います。
景気の過熱を冷やすために政策金利を引き上げるなどの対処に出れば、これは景気だけでなく米国株も下げることに繋がります。
ここからはまだ可能性の低い話になりますが、もしも、2022年も継続して賃金上昇が見られるなら、予想されている2022年12月の利上げが早まるかもしれません。
ただし、2021年9月現時点では私はまだそれほど賃金上昇がずっと続くものではないと思っています。
人手不足はパンデミックによるものだと思っているので、新型コロナウイルスが収まれば次第に労働市場に人が戻ってくるとも思うからです。
気がかりな点があるとすれば、コロナが収束する時期です。
2021年はじめの頃までに思い描いていた「ワクチンさえ打てば収束に向かう」という考えはやや楽観的であることがわかり、最近ではワクチンの効果が薄い変異株まで出現しているので、コロナとの戦いも予想以上に長引くかもしれません。
そうなれば「コロナ長期化で失業状態の長期化」から「人手不足の賃金上昇長期化」の流れはあるかもしれません。
まだ気にするには早いですが、毎月の雇用統計で賃金のデータは継続的に確認していこうと思います。