アップルに引き続き、ここではアマゾンの10-12月期決算を見ていくことにします。
アマゾンの決算は業績も今後の見通しも内容が良かったと思います。10-12月期も1-3月期もアメリカ経済は順調な景気拡大が続いていると見られているので、アマゾンにとっては追い風が吹いたようです。
この記事のポイント
- 10-12月の業績はアナリスト予想を上回った。広告やクラウドなどの投資家の関心が高い分野でも抜かりはなかった。
- アメリカ市場を中心に主力のオンライン店舗の売上の回復が続いている。売上成長率は今期もじわりと増え、営業利益も高い伸びが続いている。
- 1-3月期の業績は前年比8%から13%の売上増加で10-12月期よりもわずかに下がる見通しだが、こちらもアナリスト予想を上回った。
成長率回復が続くアマゾン
まず、アマゾンの10-12月期の業績はどれを見てもアナリストの予想よりも良かったです。
2023年4Q | 実績 | 予想 | 予想超え |
---|---|---|---|
一株利益 | $1.00 | $0.80 | ◯ |
売上 | $170.0B | $166.2B | ◯ |
クラウド売上 | $24.2B | $24.2B | – |
広告売上 | $14.7B | $14.2B | ◯ |
一株利益と売上だけでなく、投資家から成長分野として注目を集めているクラウド(AWS)や広告の売上も予想を上回っています。
最近のアマゾンは一時期の不調から抜け出した感があり、売上成長率は四半期ごとに改善されています。
この成長率の回復を受けて、2022年までボロボロだった営業利益も2023年に力強い回復を見せています。
主力のオンライン事業の復調
最近のアマゾンの好調は、主力となっているアメリカでのオンライン店舗の復調があります。
部門別売上(10億ドル) | 売上 | 構成比 | 前年同期比 |
---|---|---|---|
オンラインストア | $70.5B | 42% | +8% |
実店舗 | $5.2B | 3% | +4% |
マーケットプレイス | $43.6B | 26% | +19% |
広告 | $14.7B | 9% | +26% |
サブスク | $10.5B | 6% | +13% |
AWS | $24.2B | 14% | +13% |
全体 | $170.0B | 100% | +13% |
10月にはアマゾンのプライムデーという大規模セールの時期があり、11月後半から12月にはホリデーシーズンという大事な時期があったのですが、どちらも予想を上回る売上を記録したようで、オンライン売上は良い成績を収めたようです。
さいごに
アマゾンの10-12月期の決算で業績を確認しましたが、しっかりとした成長率の回復を感じる良い決算でした。
また、1-3月期の売上見通しは前年比8%〜13%と、10-12月期以下の数字を見通しているものの、こちらもアナリスト予想を上回っています。
2022年は(コロナの反動もあり)オンライン売上の成長率が悪化していましたが、すっかりと低迷期も超えたようです。
しかし、この決算を見てるとアメリカの消費はずいぶんと調子がいいように見えます。所得の低い層を中心にクレジットカードの延滞率が上がり、貯蓄率も下がり、またフルタイム労働者も人員削減されているはずなのですが、まだ堅調な消費が続いているのは少し不思議な感覚です。
(あと先考えずにクレジットカードや後払い決済(BNPL)を使っているようなら、あまり消費は長続きしないかもしれません)
今のアマゾンは、オンライン売上の復調がかかせないので、アメリカの消費がいつまで続くのかが業績の鍵を握りそうです。
今期の業績だけみればアマゾンは良い投資対象となりそうですが、アメリカの景気拡大が終盤に差し掛かっていると思うなら、まだしばらく様子をみたほうがいいと私は思っています。