アマゾンの2021年10-12月期の決算が発表になりました。
私の感想としては、結果は良くなかったと思います。
ただ、アマゾンの中でほとんど唯一の利益の稼ぎ頭のクラウド(AWS)が好調だったので、予想していたような利益の大きな悪化は回避できて株価は大幅に上昇しています。
この記事では2021年のアマゾンの決算を振り返っていきます。
この記事のポイント
- アマゾンの決算は売上も利益も前年にくらべて成長率が悪化しているが、利益は予想したほど悪くなかった。
- 決算後に株価が大きく上昇したが、その要因はクラウドサービス(AWS)が好調だったから。AWSはアマゾンで唯一の利益の稼ぎ頭で、この好調が利益を押し上げた。
思ったほど悪化しなかったアマゾンの業績
アマゾンの2021年10-12月期の業績はやや苦戦しました。
売上も利益もコロナの追い風が強かった前年よりもハッキリと成長率が減少しているのですが、ただ利益はアナリストが予想したほど悪くありませんでした。
- 売上:$137.4B(予想137.6B)
- 一株利益:$5.80(予想$3.57)
単位B:10億ドル | 21Q4 | 前年比 |
---|---|---|
収益 | $137.4B | +9% |
営業利益 | $3.5B | -50% |
アマゾンは2021年1-3月までコロナの在宅需要を取り込んで急成長した企業なので、その反動で今の売上成長率はかなり低い数字になっています。
売上が前年比で一桁にまで落ち込んだのは、2017年以来のことのようです。
そして、利益成長率も2021年1-3月期にピークをつけて鈍化し、今ではマイナス成長に落ち込んでいます。ただ、今期はアナリストが事前に予想した大幅な利益の悪化は回避できたようです。
予想されていた利益の大幅悪化を回避できたことで、アマゾン株は決算発表後に大きく上昇したように思います。
好調だったアマゾンのクラウドサービス(AWS)
今期の売上を部門別(セグメント別)に見てみると、アマゾンのクラウドサービスAWSが好調だったようです。
売上 | 21Q4 | 構成比 | 前年比 |
---|---|---|---|
北米 | $82.4B | 60% | +9% |
北米以外 | $37.3B | 27% | -1% |
AWS | $17.8B | 13% | +40% |
合計 | $137.4B | 100% | +9% |
「北米」や「北米以外」のアマゾンの売上は成長率が落ちているのですが、それとは対象的にクラウド(AWS)の売上は成長率が加速している傾向が見られます。
投資家にとって、クラウドの成長率の加速はかなり良い傾向です。
利益が増えれば株価は上がりますが、よく知られているようにアマゾンの利益はほとんどがクラウド(AWS)が稼ぎ出しているからです。
今期は特にその特徴がハッキリと見られていて、アマゾンの営業利益はすべてクラウドで稼いだもので、その他は赤字でした。
2021Q4 | 営業利益 |
---|---|
北米 | -$0.2B |
北米以外 | -$1.6B |
クラウド(AWS) | +$5.3B |
今期はクラウドの売上がアナリスト予想を上回ったために、一株利益も予想を大きく上回るものになりました。
実績とアナリスト予想の比較
- クラウド(AWS)売上:$17.8B(予想$17.4Bを超えた)
- 一株利益:$5.80(予想$3.57を大幅に超えた)
さいごに
この記事では、アマゾンの決算を振り返っていきました。
売上を見るとアナリスト予想に届かなかったり、利益成長率もマイナスが続いていたりと悪い材料も多い決算でした。
しかし、株価に影響を与える肝心の利益がアナリストの予想ほど悪化しなかったこと、その利益を生み出しているAWSの成長率が加速していることが確認できたおかげでアマゾン株は決算発表後に買われたようです。
アマゾンもマイクロソフトもクラウドサービスで成功している企業は、ちゃんと結果を残しているようです。