Amazonの2019年7-9月期の決算が発表されましたが、イマイチでしたね。
利益が予想に届かなかった点、AWSの売上成長が減速している点、そして、ガイダンスが弱かった点がいただけませんでした。株価は時間外で、最大9%の下落をしています。
- 一株利益:4.62ドルの予想を下回る4.23ドル。
- 収益:688億ドルの予想を上回る700億ドル。
- AWS収益:91億ドルの予想を下回る90億ドル(前年比+35%増加)
そして、一番の稼ぎ時である10-12月期の見通しはかなり弱かったです。
売上こそ800-865億ドルでアナリスト予想の873億ドルをやや下回る程度でしたが、営業利益は12-29億ドルになると発表がありました。これは、昨年の10-12月の38億ドルの営業利益から大幅に減少することだけでなく、42億ドルと見ていたアナリスト予想も大きく下回りました。
さて、ここまで読むと、「なんでこんなに急に利益が減少するの?」と疑問に思うと思います。その理由は、配送コストの大幅増加です。実は2019年4-6月期でも同じ内容の記事を書いたのですが、最近のアマゾンはずっとこの問題を引きずっているように見えます。
アマゾン、配送サービスの拡充で売上再成長も利益を圧迫【2019年2Q決算】
アマゾンの売上と利益はネットショップが大きく左右する
配送コストの話をする前に、今一度アマゾンは「オンライン・ショッピングサイトの会社で、売上も利益もネットショップの影響を大きく受ける」という事実を思い出しておきたいと思います。
最近のアマゾンは、クラウドコンピューティング、音楽・動画配信ビジネス、広告ビジネスなど他分野に拡大していますが、売上の構成比を見ると圧倒的にネットショップが占める割合が大きいです。
アマゾンが一般的によく決算報告で使う売上の分類は次の5つです。
- オンラインストア:アマゾンのサイトでアマゾンが販売する商品の売上。
- 実店舗:ホールフーズなど実店舗の売上。
- マーケットプレイス:アマゾンのウェブサイトに出店している小売店からの売上。
- サブスクリプション:Amazon Prime会員サービスや音楽配信サービスなどの定額制サービスの売上。
- AWS:クラウドコンピューティングの収入。
- その他:主にアマゾンのオンラインストアの広告収入。
部門別売上(100万ドル) | 売上 | 前年同期比 |
---|---|---|
オンラインストア | 35,039 | +21% |
実店舗 | 4,192 | -1% |
マーケットプレイス | 13,212 | +27% |
サブスクリプション | 4,957 | +34% |
AWS | 8,995 | +35% |
その他(広告収入など) | 3,586 | +44% |
合計 | 69,981 | +24% |
このうち、オンラインストアとマーケットプレイスは商品の販売元は違えど、アマゾンのウェブサイトで商品を販売するので、ひとまとめに「オンラインストア」とすると、この売上はアマゾンの7割を占めていることがわかります。
最近はAWSの売上規模が大きくなり、利益率が高いので投資家の中でAWSの存在感が大きくなっていますが、まだ売上規模からするとネットショップの会社と言えます。
増え続ける配送コストがアマゾンの利益が圧迫する
なので、オンラインショップの部門で大きなコストが発生すれば、アマゾンの利益も大きく影響してしまいます。そして、2019年4-6月期と7-9月期を見る限り、それが実際に起こっていることが決算で確認できています。
以下は、アマゾンの配送コストの前年比からの伸びを示していますが、4-6月期は+36%増、7-9月期は+46%増と、完全に2期連続で売上成長率を超えています。
決算期 | 配送コスト(100万ドル) | 前年比 |
---|---|---|
2Q2018 | 5,990 | 31% |
3Q2018 | 6,568 | 22% |
4Q2018 | 9,041 | 23% |
1Q2019 | 7,320 | 21% |
2Q2019 | 8,134 | 36% |
3Q2019 | 9,608 | 46% |
これは広いアメリカの地で、今までオンライン注文から標準で2日かけて配送していたところを、1日に短縮するサービスをアマゾン・プライム会員向けに拡充しているからです。これにより、ライバルのウォールマートからユーザを獲得しているのですが、コストのほうが高くついてしまっています。
AWSも収益性が悪化
増える配送コストがアマゾンの利益の減少の主な要因ですが、一方で今まで利益を牽引していたAWSの収益性もやや悪くなっていることも、懸念材料です。
AWSは前年比で売上が+35%で成長していますが、一方で営業経費は46%増でコストが増えています。私は、長年アマゾンを保有していますが、悪い材料が目立つ決算となってしまいました。