アレクサが答えられない質問の回答を一般人から教えてもらう
「ねえ、アレクサ。今日の天気を教えて」
CMなどではおなじみのアマゾンの音声アシスタント「アレクサ」ですが、日本ではそんなに使っている人はまだ多くないようです。
2019年2月の電通デジタルの調査では、残念ながら日本ではスマートスピーカーを所有している人口は6%にも満たないとの調査結果があります。
利用が促進されない理由の一つに、「思いの外できることが少ない」というものがあります。話しかければ何でも答えてくれるものを期待してせっかく買ったのに、何を聞いても「すみません。よくわかりません」を連発されると、こちらとしてもがっかりしてしまいます。
そんな悩みを解決するために、Amazonはアレクサが答えられてなかった質問の回答を、誰でも教えることができる「Alexa Answers」という機能の9月12日に一般に公開しました。
アレクサに寄せられる質問の数は膨大で、アマゾンが独自で回答を準備するには限界があります。そこで、クラウドソーシングと呼ばれる、Wikipediaのように一般人がネットを通じて回答を集める仕組みを利用することにしたようです。
もともと2018年年末には限定ユーザのみが回答を修正できるようにしていたところを、今回の発表では誰でも回答を入力できるように変更たようです。
既に成人の4分の1が音声アシスタントを使っている、アメリカでこの取り組みはまず実施されます。
何かがブームになるためには、普及率が16%を超えることが重要と言われていますが、それを超えているアメリカでは今後ますます音声アシスタントが便利なものになりそうです。
16%を超える意味についてはこちらを参照:
10年ぶりのタピオカブームに学ぶ、資産運用が一般人に普及するまでの壁。
クラウドソーシングの功罪
しかし、こうした音声アシスタントの回答を一般の人も修正できるようにすることは、良い結果を招くものもの、悪い結果を招くものもあります。
良い例としては、wikipediaは一般ユーザから情報を集めて、かなりうまく運営できている印象があります。
一方で、悪い方で評判が目立ってしまったのは2016年に米マイクロソフトが一般公開したAIのTay(テイ)です。暴言を覚えてしまい、公開を中断した経緯があります。
マイクロソフトのAI「Tay」が一時復活、また暴言(CNET)
しかし、アマゾンは不適切な言葉が使われている回答を除外したり、ユーザが不適切と判断できる内容は報告できる仕組みをつくって、一定の成果を上げ、修正機能の対象を限定ユーザかた一般ユーザに広げたようです。
アマゾンにとってのアレクサ
アマゾンのアレクサを使ったビジネスは、スマートスピーカーやスマートディスプレイを販売する事以外には、そこまで大きくありません。
しかし、普段の生活の中でアレクサを愛用してもらうことは、アマゾンミュージックや、アマゾンプライムビデオの利用頻度を大きくする上で、とても重要な位置を占めています。
また、まだ市民権を得てない音声アシスタント経由のネットショッピングですが、今後長期的には音声アシスタントを使ったネットショッピングも普及することを考えると、eコマースサイトを運営しているアマゾンとしては絶対にアレクサのシェアをおさえておきたいところです。
そういった意味で、アレクサをユーザの力を使って賢くするAlexa Answersはぜひとも成功させたいとアマゾンは考えているに違いありません。