クラウド費用がかさんだGoogle
Googleの親会社、Alphabetの2019年3Q決算発表がありました。結果は良くなかったです。収益はよかったのですが、利益がだいぶ予想を下回ってしまいました。
- 一株利益:12.42ドル予想を下回る10.12ドル
- 収益:403.2億ドル予想を上回る405億ドル(前年比+20%)
利益が予想よりも落ち込んでしまった原因ですが、クラウドの売上を伸ばすためのデータセンターへの設備投資や、営業コストがかかってしまったようです。
まあ、仕方ないですね。グーグルの収益の大部分を支えている広告ビジネスは比較的堅調なので、堅調のうちに別の収益源を確立するために投資をするのは常套手段です。本業は好調なので、これからもこの企業は保有していて、問題はないです。
広告以外のビジネスも急成長で存在感を示す
さて、AlphabetはGoogleを筆頭に、Googleのプロジェクトから分社化した数々の企業(自動運転のWaymoなど)を傘下に持っていますが、売上の99%以上はGoogleに頼っています。
相変わらず今期も、AlphabetがGoogleに頼りきっている収益構造は変わらないのですが、Googleの中では少しずつ変化が起こっているようです。
従来まで広告収入が大部分を占めてきましたが、近年は非広告事業(クラウド、スマホ、スマートスピーカーなど)が成長しているのは大変良い傾向です。まだ規模は広告収入の20%ほどしかありませんが、40%前後で成長しているので、Googleの収益の成長率を押し上げて、収益の成長化に貢献しています。
売上構成(100万ドル) | 2019年3Q | 2018年3Q | 前年比 |
---|---|---|---|
Google広告収入 | 33,916 | 28,954 | +17% |
Google広告外収入 | 6,428 | 4,640 | +39% |
Google以外の会社の売上 | 155 | 146 | +6% |
合計 | 40,499 | 33,740 | +20% |
本業の広告ビジネスは相変わらず好調
最後に、Googleの広告ビジネスに関わる重要な数字を見て行きます。数字の意味がとっつきにくいと思うので、結論だけ先に触れるとGoogleの広告ビジネスは堅調でした。広告収入は17%成長で、前期+16%と比べても加速しているだけでなく、1クリックあたりのコストも前年同期比-2%で削減できています。
- 広告収入: 339億ドル。前年同期+17%成長は前期+16%よりも加速。
- 広告クリック数: 前年同期比+18%。
- 広告1クリックあたりのコスト: 前年同期比-2%
- TAC(Traffic acquisition costs): 74.8億ドル予想より悪い74.9億ドル。(ただし前年比+14%で、売上成長よりも抑えられた)
この中で、一番意味が分からない数字はダントツでTACです。
TAC(Traffic acquisition costs)には、Googleのサイトに呼び込むための費用が含まれています。たとえば、iPhoneやMacでSafariというアップルのwebブラウザを開いて検索するとgoogle検索が実行されますが、これは年間莫大な金額をAppleに支払って、既定の検索エンジンをGoogleに指定してもらっています。こうした費用がTACです。
四半期だけで74.8億ドルという数字の規模を見てもわかるように、この費用はGoogleの広告ビジネスを大きく左右します。
この数字の使い方としては、広告収入の増加がTACの増加を超えているかを見ます。今回は広告収入の伸びが+17%、TACが+14%なので利益率が改善されているなと見ることができます。
まとめ
2019年3QのAlphabetの決算としては、成長分野クラウドの収益を上げるためのコストがかかったために利益は予想を下回ってしまいました。ただ、GoogleのYouTube広告や検索広告などの本業の広告ビジネスの収益性が改善しているので、この企業は売る必要はないと考えています。
非広告ビジネスは年間+40%で伸びている成長期なので、まずはしっかり投資して売上を伸ばして後に、収益を改善して大きな果実をつけてくれればいいと思っています。
その他のGoogleの最新ニュースとビジネス動向は、Googleの企業分析ページでまとめています。詳しくはこちらをご覧ください。
【米国株】Google株の銘柄分析【最新のIT技術をリードするアルファベット】
Googleを知らない人はいないと思います。しかし、Googleが今何に取り組んでいるかの動向を把握できている人はそう多くないはずです。「Googleのビジネス動向」と「近年の株価と業積の変化」の両面を見つつ、Googleと親会社アルファベットの今を追いかけます。