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強気なアナリストたちの予想に感じる違和感

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いつもこのブログでは、データを見ながら考えたことを中心に書いています。

ある程度「こういうことが言えるかも知れない」と結論が出たものを書いていることが多いのですが、調べてみても分からなかったこともたまには書いてみようと思います。

私はこの数ヶ月で分からないのは、アナリストたちの一株利益予想です。やはり、どうしても楽観的に見えます。

この記事のポイント

  • この数ヶ月間、毎週Refinitivでアナリストの一株利益予想を追いかけたが、ほとんど変化が見られなかった。
  • 歴史的なペースで金融引き締めが進んでいるにも関わらず、業績への影響は心配されていない。
  • アナリストによれば、今後1年で一株利益の成長率が最も低いのは2022年7-9月期。つまり既に谷は過ぎたことになる。

楽観的なアナリスト予想


この数ヶ月、このブログでは毎月何回か次のようなグラフを掲載してきました。

上のグラフは、アナリストが予想する今後12ヶ月間の一株利益をS&P500の500社分だけあつめて、(時価総額で比重をかけてから)足し合わせたものです。

このグラフを見てみると利益予想は一時期よりは下方修正されましたがそれもわずかで、アメリカ企業は今後も堅調に成長を続けると見られています。しかも、世界中で金融引き締めが行れて、予想以上に景気の減速が進んで経済成長率が次々に引き下げられているにも関わらず、です。

私には今のアナリストたちの予想は高すぎると考えています。

違和感を感じる点は2つです。1つ目は「金融引き締めによる景気の悪化の影響が予想に反映されていないこと」、2つ目は「利益成長の最悪期は既に過ぎたとアナリストたちが考えていること」です。

景気後退の影響はないのか


今のアナリストの予想は、アメリカの景気悪化がほとんど反映されていないと思っています。

小規模でも景気後退が起こればS&P500の一株利益は10%〜20%程度下がり、大きな規模の景気後退なら30%以上がるのですが、現時点のアナリスト予想にそれほどの規模の利益予想の下方修正は見られません。

2022年は株価が大きく下がっていますが、それは金利の悪影響によるもので、企業利益の悪化はまだ織り込まれていないと思っています。

そして、下のグラフのように景気後退時の「企業利益の悪化」と「株価の下落」は相関があるので、今後もしもアメリカの景気が悪化したときに企業の利益予想が悪化したら、さらに株価は下がる余地があります。

2022年7-9月期で利益成長の最悪期は過ぎたのか


2つの目の違和感は、2023年までで利益成長が最も鈍いは2022年7-9月期だとアナリストたちが考えていることです。


(※データ出典:2022年10月14日のRefinitivのレポート)

既に世の中は2022年10月に突入したので、アナリストの予想では利益成長の鈍化は既に底打ちしたと言っているようです。

ただし、過去に企業の一株利益と相関が高かったISM製造業指数の動きを見ても、今のところ9月分までのデータでは企業利益の伸びが底打ちする兆候は見られていません。

早い経済指標では1そろそろ10月分のデータが出始めるので、どういうデータが出ているのかを楽しみに待ちたいと思います。


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