このブログでは何度も取り上げていますが、ドイツの景気が良くないです。
ドイツ企業の景況感を数値化した指標(PMI)が発表されましたが、結果は、一言でいうと悪かったです。50を下回ると景気の悪化、上回れば上昇を意味しますが、製造業は50を遥かに下回って10年ぶりの低水準、総合でも6年半ぶりに基準値の50を下回りました。
- ドイツ製造業PMI:予想44.0を大幅に下回る結果41.4。10年ぶりの低水準。
- ドイツ非製造業PMI:予想54.3を下回る結果52.5。
- ドイツ総合PMI:結果49.1で、6年半ぶりに50を下回る低水準
2019年は世界的に製造業が不振です。ドイツ以外の国はそれを非製造業が補ってなんとか緩やかな景気拡大を維持している構図がありますが、製造業の依存度が高いドイツは製造業の悪化が止まらず、控えめに言ってもかなりきつい状況です。

おそらく、ドイツは2019年第3四半期(7-9月)もGDP成長率マイナスになっているでしょう。2四半期連続のGDPマイナス成長が続くと「景気後退」と言われますが、既に第2四半期でマイナス成長になっているドイツは、先進国の中で一足先に景気後退しそうです。
世界経済は予想通りの展開
実は、1ヶ月弱前の2019年9月1日に「今後のアメリカを中心とした世界経済で起こる9つのこと。」というタイトルで、これから起こることを予想していたのですが、だいたい予想通りの展開が続いています。
1つは既に達成。ドイツ景気後退と中国GDP目標引き下げの2つはかなり濃厚で達成しそうな雰囲気です。
- (1)ドイツ、景気後退入り:2019年3Qにたぶん達成
- (2)ヨーロッパECB、金利引下げと量的緩和を再開:2019年9月に達成
- (3)中国、景気減速し毎年のようにGDP目標値を大幅に引き下げる:目標値6%台維持困難と中国首相発言。2020年にたぶん達成
- (4)アメリカ、景気後退前に株価が上昇してピークをつける
- (5)アメリカ、景気後退入り
- (6)アメリカ、景気対策のためにゼロ金利まで下げ、量的緩和を開始
- (7)アメリカ、国債が買われあらゆる年限でマイナス利回りになる
- (8)アメリカ、景気後退脱出後も日本のような低インフレ時代に突入。
- (9)アメリカをはじめとする先進国大規模な財政出動により、低インフレ時代を終える。
ただ、(4)「アメリカ景気後退前に株価が上昇してピークをつける」は、かなり時間がかかると思われます。アメリカの景気はまだまだ力強いからです。
それよりも先にヨーロッパ・日本・中国で景気拡大スピードの大きな減速がある気がしています。その影響を世界展開しているアメリカ企業が影響を受けて、アメリカの景気にも景気拡大スピードが落ちる事態が2020年に訪れるかなと思っています。
ドイツの次はヨーロッパ全域と日本
ちらっと上でもいいましたが、次に注目しているのはヨーロッパ全域と日本です。
ヨーロッパの景気の注目ポイント
ヨーロッパ全域の景気のポイントは、ドイツの影響がどれだけ波及するか、そしてイギリスのユーロ離脱で一時的に経済の混乱が発生しないかです。(そもそも離脱交渉がまとまるか、合意がないまま離脱に踏み切るかという大きな論点がありますが)
ヨーロッパについては、中央銀行ECBのドラギ総裁が「域内経済は回復のめど立たず」とも言っています。自分が打ち出した大胆な金融政策を正当化するための発言とも取れなくないですが、心配なタネです。
ECB総裁「域内経済は回復のめど立たず」 製造業の不振懸念(ブルームバーグ)
既に景気低迷しているドイツに加えて、EU離脱の交渉が難航しているイギリスも先が読めない展開で、2019年と2020年はヨーロッパにとって苦しい展開になりそうです。
日本景気の注目ポイント
過去の消費税アップのタイミングでは、確実日本の消費を冷やしてきた実績があるので、今回も政府が増税対策を打ち出しているとはいえ、景気の冷え込みは避けられないと思われます。
問題はその影響が出てくるタイミングです。また、その景気に陰りが見えたタイミングは、日銀がさらなる緩和策を打ってくるタイミングでもあるでしょう。
今まで世界の中央銀行が2019年に次々と景気刺激策を打ち出しているなか、日銀だけじっくりと石のごとく無言を貫き続けたのも、増税後の影響を見越して策を温存しているようにも見えます。
ただ、過去の増税前に比べて、今の日本は目立った駆け込み需要や増税後を心配する声が少ない気がします。私の耳に入ってきていないだけかも知れませんが、「今回は今までと違う」ということなのでしょうか。
今まで世界を見すぎていて日本のニュースに疎かったので、増税後の10月以降はちゃんと国内にも目を向けようと思います。