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アメリカの悪い雇用環境を喜ぶ株式投資家。

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2019年6月のADP雇用統計は予想を下回る結果

オートマチックデータプロセッシング社(ADP)は企業に代わって給与計算を代行するビジネスをしています。この会社は全米でたくさんの企業を顧客にしていて、その大量の人事データをもとに毎月雇用者数の変化をADP雇用統計として発表しています。

参考記事:【初心者向け】主要な米国経済指標の知ろう。

昨晩、発表された2019年6月のADP雇用統計ですが、先月ほどではないにしても、内容が悪かったです。

前月からの雇用者の伸びは10.2万人で、市場予想の10.2万人を下回る結果になりました。前回改定値の4.1万人よりは回復したものの、「う〜ん。どうしたものかな」いったところです。

ADP雇用統計が重要な数字かと言われると、そうではありません。最重要なのはADP雇用統計の数日後に発表される、政府発表の雇用統計です。この政府発表のものは、中央銀行のFRBも注意して見ていて注目度が高いのです。

ですが、ADPのものは政府発表の雇用統計の先行指標とみられており、政府発表の雇用統計も予想を下回る結果になるのではないかと懸念されています。

さえない指標にもかかわらず、株価は歴代最高値

しかし、こうした冴えないデータにもかかわらず、S&P500は連日最高値を更新し続けています。

これは株式市場が「アメリカの景気はまだまだ強いぞ」と見ているわけではありません。アメリカの景気がつまずきかけているので、中央銀行のFRBが景気刺激のための政策をとってくれるはずと期待が高まっているからです。

この景気刺激策とは、もっと具体的に言えば政策金利の引き下げです。金利引き下げは株価にプラスに働くので、アメリカの経済指標の数字が悪くなるほど、金利利下げが近づいていると喜んで株が上がっています。

7月31日には、次回の金融政策決定会合があるのですが、そこで市場の70.3%の人は現時点の金利から0.25%引き下げられて、2.00-2.25%になるだろうと予測しています。

市場の金利予測の調べ方はこちらの記事参照:【中級者向け】米国金利動向の市場予測の調べ方

しかし、金利のコントロールでできることは景気後退の局面を遅らせることだけです。数ヶ月単位なのか、1年なのか、数年なのかわかりませんが、いずれ景気後退局面は来ると思います。ADP雇用統計以外のあらゆる統計が、2018年から下がっていることから、景気のピークは既に越えたと見られるからです。

問題はそれがいつ来るかです。

大方の予想では、年内いっぱいは持ちこたえるとの声が多いです。2019年は大統領選を1年後に控えた年なのですが、大統領選前の年は現職の大統領が選挙戦を有利に戦うために経済に良い政策を実施する傾向があるためか、株の成績が良いというデータもあるようです。

いずれにしても景気が弱くなってきているので、2019年は難しい投資環境が続きます。せっかくのS&P500が歴代最高値を更新する株高の市場ですが、わたしは当初想定の通り、追加投資なく次の不況に備えます。不況時の相場では「まず大きな下落でも生き残る」ことが最重要だからです。


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