明日6月7日の5月米雇用統計発表を前に、オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)は5月の雇用統計を発表しました。
市場予想の18万人増に対して、ADP民間雇用者数はわずかに2万7000人増とかなり低調な数字を出してきています。これは2010年3月以来の9年ぶりの小幅な伸びでした。
一言でいうと、良くない数字ですね。ADPの発表を受けて、明日の米雇用統計にも薄っすらと暗雲が立ち込めており、メディアでは雇用統計でのネガティブサプライズを警戒する声が出始めています。
ただ、ADP雇用統計の弱い数字を受けてもなお、ステートストリートのマービン・ロー氏はロイターの取材に対して「指標は昨年ほど堅調でないにしても、なおトレンドを上回っている。FRBが利下げに積極的とは思わない」との見方を示しています。
6月17-18日に開かれる金融政策決定会合(FOMC)では利下げの検討も行われる可能性があり、その直前の雇用統計として明日の発表に注目が集まります。
杞憂に終わればよいのですが、5月の米国雇用がADPの数字通りに低迷しているとなると、本当に気がかりですね。明日の雇用統計は無事に通過してくれることを祈ります。
米労働省発表雇用統計 | 5月予想 | 4月発表 |
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非農業部門雇用増加数 | 18.5万人 | 26.3万人 |
失業率 | 3.6% | 3.6% |
ADP雇用統計とは
ちなみに、何も説明なくADP雇用統計の話をしてしまいましたが、ADP雇用統計とは米労働省が発表する雇用統計を予測するためにADP社が作成する数字です。
市場予想とは別に、ADP社が独自に直前予想するもので、通常2営業日前にADP雇用統計として発表されます。
ADPは企業に代わって給与計算を代行するビジネスを手がけており、全米で数多くの人事データを持っていることから、データを活用した雇用統計の独自予想をADP雇用統計として算出しています。